ブロックチェーンを使うことのメリット

ブロックチェーンを使うことのメリットの1つは、「安全性が非常に高い」ということです。『5つの特徴』でも触れましたが、改ざんが非常に難しいことが背景にあります。そしてもう1つは、「参加者全員で情報を共有」していることです。これは相互牽制が効くことになり、企業の健全性をアピールすることができ、企業価値を高めることができます。

また、『5つの特徴』に記載した内容は、既存のソフトウェアやハードウェアなどの技術でも開発することで実現できます。しかし、ブロックチェーンというOSS(オープンソースソフトウェア)の仕組みで行えるということが大きなメリットです。

ブロックチェーンを使うことのデメリット

ブロックチェーンが現在のビジネス上の課題をすべて解決してくれるような『魔法の杖』かというと、そのようなことはありません。メリットがあれば、当然ながらデメリットもあります。

例えば「ミリ秒を争うような性能」を求めるようなビジネスには、合意形成が必要なために向かない、ということです。それらを踏まえてビジネスに適用していく必要があります。他にもデメリットや課題があります。もちろん、これらの弱点を克服するための検討や研究が進められています。

ブロックチェーンへの期待

ブロックチェーンには得意分野、苦手分野があります。それらを踏まえて様々な業界で実証実験が行われ、メディアを賑わせています。そして既に商用のサービスが始まっているものもあります。

例えば海外では、ダイヤモンドの取引にブロックチェーンを活用して、その原産から消費者に渡るまでの流通経路を可視化している会社があります。 ブロックチェーンを国家施策として積極的に利用している国としては、エストニアが有名です。

日本でもさまざまな実証実験が行われて、例えば銀行間の送金サービスは2018年の夏頃にサービスを開始する予定で動いています。

さらに注目すべき点は、ブロックチェーンそのものが進化している、ということです。

例えばIoT (Internet of Things:モノのインターネット)とブロックチェーンの組合せでは、IoTと連携するために専用のブロックチェーンが生まれています。ここまで説明してきた内容、概念が覆るような仕組みのブロックチェーンが生まれるかもしれません。頭を柔らかくすることが大事です。

NTTテクノクロスの取り組み

NTTテクノクロスでは、EthereumやHyperledger Fabricなどのブロックチェーン本体の改造や調査、ブロックチェーン上でのデモアプリや実証実験の支援を行ってきています。スマートコントラクトを含むプログラム開発や環境構築、ブロックチェーン上のプログラム開発のトレーニングなどを行っています。2018年1月には、パッケージ製品(ContractGate/Monitor)を販売しています。

ContractGate/Monitorはブロックチェーンの動作状況をわかりやすく図やグラフ、日本語などで可視化する製品です。EthereumとHyperledger Fabricの、2種類のブロックチェーンに対応しています。

著者プロフィール

唐澤光彦(からさわ みつひこ)
NTTテクノクロス株式会社 エンタープライズ事業部 マネージャー 特権ID管理ソリューション「iDoperation」、IT資産管理ソリューション「iTAssetEye」の企画、製品化、プロモーションを経て、2015年よりブロックチェーン関連開発業務、ブロックチェーン可視化パッケージ「ContractGate」企画、製品化、プロモーションを担当、セミナーなどで登壇している。