NTTドコモは4月23日、NEC、NTTと28GHz帯の周波数において第5世代移動通信方式(5G)を使用し、時速305kmで移動する自動車に搭載した5G移動局と実験コースに設置した5G基地局との間で無線データ伝送に成功したと発表した。

  • 実験用の車両

    実験用の車両

今回、JARI(茨城県東茨城郡城里町)のテストコース(全周5.5kmの高速周回路のうちの約1kmの直線区間)において、コース脇に設置した2つの5G基地局とコース上を超高速で走行する実験用自動車に搭載した5G移動局との間で、28GHz帯の周波数を用いた5G無線通信を実施。

4つの実験を行い、(1)時速305kmで移動する5G移動局と5G基地局の間の5G無線データ伝送、(2)時速293kmで移動する5G移動局に対して、下り1.1Gbpsの超高速5G無線データ伝送、(3)時速290kmで移動する5G移動局と5G基地局の間の無線通信回線を維持したまま接続先の5G基地局を瞬時に切り替える通信中5G基地局間ハンドオーバー、(4)時速200kmで移動する5G移動局から上り4Kハイフレームレート車窓映像の5G無線ライブ中継にそれぞれ成功した。

  • 実験の模様

    実験の模様

実験で利用した28GHz帯の周波数は、電波の減衰が大きいため電波が遠くまで届きづらく、また直進性が強いという特徴がある。

そのため5G基地局と5G移動局の両方に、電波の放射エリアを特定方向へ集中させるビームフォーミング機能と、5G移動局の動きに合わせて電波の放射方向を制御するビーム追従機能を搭載した上で最適化し、より速い移動速度における5G無線通信回線の設定と5G無線データ伝送の高速化を実現。

さらに、5G無線通信回線を維持したまま接続先を瞬時に切り替える通信中基地局間ハンドオーバー機能の適用により、より広いエリアにおける超高速移動する5G移動局と5G基地局の間の5G無線通信を実現したとしている。

  • 超高速5G無線データ伝送実験のシステム構成

    超高速5G無線データ伝送実験のシステム構成

加えて、超高速移動する自動車からのリアルな車窓映像を5G基地局へ送るため、4K・120フレーム/秒の高精細で高フレームレート(4Kハイフレームレート)の映像符号化方式を使用して無線ライブ中継を実現したという。

  • 4Kハイフレームレート車窓映像・5G無線ライブ中継実験のシステム構成

    4Kハイフレームレート車窓映像・5G無線ライブ中継実験のシステム構成

実験にあたり、ドコモ5Gオープンパートナープログラムの参加企業のうち、ソニービジネスソリューションと、カーレーシングチーム「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」を運営するダンディライアンの協力も得た。

各社の実験での役割は、ドコモは実験全体の企画・推進および超高速移動環境における5Gエリア設計を、NECは5G移動局装置と5G基地局装置の提供及び5Gコア装置の運用をそれぞれ担当。

NTTのうち、NTTアクセスサービスシステム研究所は高周波数帯電波伝搬の解析・把握を、NTTメディアインテリジェンス研究所は4Kハイフレームレート映像伝送システムの構築を担当した。

ソニービジネスソリューションは4Kハイフレームレート撮影対応カメラ機器を提供し、ダンディライアンは超高速実験用自動車のチューニングおよび高速周回路における自動車走行オペレーションを担当した。