長崎大学 ICT基盤センター・ナレッジプラットフォーム部門(長崎大学ICT基盤センター)は4月23日、ソフトバンク、シナラシステムズジャパン(シナラ)と観光周遊ビッグデータの収集・解析の共同研究を行うことで合意したことを発表した。共同研究ではソフトバンクとシナラが提供するサービスを活用し、利用者の同意を得て収集したログ情報の分析を実施する。
今回の実験における目的は、「宿泊客および日帰り客が観光エリア内をどのように周遊しているかを把握」「特定エリアの観光に関するさまざまな状況を把握」「効果的な観光情報の手法や効果の検証」の3つ。「ソフトバンクWi-Fiスポット」のアクセスポイントのログデータを利用した移動分析や、シナラが提供するWebタグを利用したホームページの訪問履歴分析などを通じて、データ収集や分析を行う。
Wi-Fiアクセスポイントは、Wi-FiをONにしている端末と通信を行う事前準備として、端末とアクセスポイント間で互いを認識する信号データのやり取りを行っている。ログ情報はサーバに蓄積されており、同意を得たユーザーの利用者情報とひもづけることで、年代や市区町村レベルでの居住地などを明らかにすることができるという。長崎大学は、ソフトバンクからその情報を統計化(十分な匿名化)したデータの提供を受け、分析を行う。なお、蓄積されたデータに個人情報は含まれない。
また、あらかじめ各観光スポットのホームページにシナラが発行したWebタグを記述することで、利用者がアクセスした際に、シナラにアクセスした情報が送られるようになっている。その情報を統計化(十分な匿名化)し分析することで、どのような属性を持ったユーザーがアクセスしているのかを測定することができるという。
これらの仕組みを組み合わせることで、長崎県の観光客が、事前にどのホームページで情報収集を行い、訪問するまでの期間、訪問先の傾向(統計データ)をより早く把握することが可能になるという。分析で得られたデータは「観光活性化支援システム」で、観光客の行動が十分に把握できる形で公開する予定だ。