AIスタートアップのAppierは4月10日に、プレスとアナリストに向けたイベント「Appier Press&Analyst Summit 2018」を台湾で開催し、AIを搭載したデータインテリジェンスプラットフォーム「アイソン」と、LINEアカウントの各種機能とAPI接続する「LINE ビジネスコネクト」が連携したことを発表した。両サービスのユーザー企業は2018年6月から連携プラットフォームを利用することができる。

  • パーソナライズ化されたLINEメッセージで開封率の向上を目指す - Appier

LINEのフォロワーにパーソナライズ化したメッセージを送る

アイソンはAIによりオーディエンス分析・予測を行うデータインテリジェンスプラットフォーム。予想モデルによるオーディエンスの発見や特定の条件によるセグメンテーションなどを行うことができる。

今回の連携によって、アイソンのAIエンジンはLINEユーザーのIDと、20億を超えるユーザーやデバイスから構成されるAppierの「CrossXデータベース」を照合し、関心キーワードや趣味嗜好からフォロワーをセグメント化できるようになる。これにより、LINE ビジネスコネクトを導入している企業は、高いコンバージョンが予想されるオーディエンスのみに対して、個別最適化したメッセージを配信することが可能だ。

  • 従来のメッセージ送付とアイソンを使った場合の比較

    従来のメッセージ送付とアイソンを使った場合の比較

Appier 製品担当マネジャーのベン・チャン氏は「LINEは1億6800万のマンスリーアクティブユーザーを抱えているアジア最大のメッセージングプラットフォームですが、従来のように登録ユーザー全員へ一律の配信をしているだけでは、あまり高い効果には期待できないでしょう。メッセージのブロックや開封率の低下にもつながりかねません。そこで、重要なのがパーソナライズ化されたメッセージです」と、セグメンテーションの重要性を述べる。

なにも考えずにLINEで大量のメッセージを送るだけでは、ユーザーを辟易させてしまう恐れがあるのだという。

  • Appier 製品担当マネジャーのベン・チャン氏

    Appier 製品担当マネジャーのベン・チャン氏

イベントでは、LINEのアカウントからアパレルブランド「トランペット・スリーブ」のブラウスに関心が高いセグメントを導き出すデモが行われた。

セグメント化されたメッセージを配信するには、まず、LINEのIDデータをドラッグ&ドロップしてアイソンに読み込ませる。ユーザー分析によって個々の関心ごとが特定されるので、「トランペット・スリーブ」というキーワードを入力すれば、興味のあるユーザーが抽出されるというわけだ。

  • メッセージングデータのLINE IDをドラッグ&ドロップする

    メッセージングデータのLINE IDをドラッグ&ドロップする

最後に、送信内容を編集すれば、このセグメントに対してのみメッセージを送信することができる。

  • 右側がデモ用のLINE画面。メッセージが届いた様子

    右側がデモ用のLINE画面。メッセージが届いた様子

実際に行われた主な作業は、「分析データのドラッグ&ドロップ」「抽出キーワードの入力」「送信メッセージの作成」という3つ。送信内容の作成についても、画像の添付やURLの貼り付けといった作業がメインで、デモでは1分程度で完了していた。この程度のフローであれば、まだ仕事に慣れていない新入社員でも問題なく実行できるのではないだろうか。

リターゲティングチャネルとしてのLINE活用も可能

また、フォロワーがECサイトに訪問したが、商品を購入しなかった場合などに、企業はこのフォロワーに対してLINE上で購入を促すクーポンなどを提示することも可能だ。

「たとえば、ECサイトでアイテムをカートに入れた直後に、友人からメッセージが届いたとします。商品に対して魅力を感じてはいますが、友人とのやり取りを開始するとそちらに注意が向いてしまい、うっかり購入を忘れてしまうこともありますよね。そのようなケースでは、名指しでまだ購入が終わっていないというメッセージが届けることで、ユーザーに再びページを訪問してもらえる可能性が高くなるでしょう」と、ベン・チャン氏。

確かに、ホテルの予約確認やECの購入確認など、自分の名前が入っているメッセージはしっかりとチェックすることが多い。不特定に配信される一般的な広告とは違い、自分だけに送られているような特別感と関心ごとにマッチした内容が、コンバージョンをアップさせる要因なのだろう。