デルは4月7日、神奈川県川崎本社で「親子でRubyプログラミング1日体験教室」を開催した。
これは、同社の中堅企業(従業員100名以上1,000名未満)を担当する広域営業統括本部がCSR活動の一環として、今年の1月からリバティ・フィッシュと共同で開催しているもので、大阪、名古屋、福岡等でも開催されている。同社では、プログラミング1日体験教室以外にも「親子パソコン組み立て教室」を実施している。
2020年に始まる初等教育におけるプログラミング教育の必修化に向けて様々な動きが始まっており、今回の教室は、こどもに将来の様々な可能性に触れさせたいという顧客からの要望に応えるもの。
プログラミング教室では、「スモウルビー」というOSSを使って、プログラミング経験のない小・中学生でも簡単に操作できる「Ruby」のプログラム作りを3時間半にわたって体験した。
4月7日のプログラミング教室には、小学2年生から中学生までの9組の親子が参加。当日は、Rubyの開発者であるまつもとゆきひろ氏も講師として参加し、日常の動作をロジックに置きかえる点を説明した。
同氏は、OSSの「スモウルビー」について、「Rubyモードがあり、ブロックで作ったプログラムを、実際のRubyプログラミングとして見ることができるので、移行パスと利用できるのが大きな特徴です」とScratchとの違いを説明した。
その後イベントでは、「スモウルビー」の使い方、ロジックの記述の方法を学んだのち、実際のプログラミング作業を行った。
「スモウルビー」は、自動車、ねこなどのキャラクターを選択し、そのキャラクターの動作を、動き、見た目、音、ペン、データ、イベント、制御、調べる、演算など10種類のブロック中から選択し、ドラック&ドロップして追加していくことでプログラムを完成させていく開発環境。当日は、ラズベリー・パイという小型のPC上で動作させていた。
教室では、親子1組ごとにデルの社員が付き、プログラム作りをサポートした。
プログラミング教室の最後には、実際に車を動かす体験としてスモウルボットを利用。スモウルボットとラズベリー・パイをUSBで接続し、LEDを光らせたり、タイヤを動かすなどのプログラミング体験を行った。
そして、全員に修了証書が渡され、3時間半の体験は終了した。
今回のプログラミング教室は、デルが顧客の要望を受けて実施したものだ。
デル 執行役員 広域営業統轄本部 統括本部長 清水博氏は、「お客様からのニーズもあり、感謝祭的に開催しています。採用により、サポートできる社内の人材が充実してきた点も背景にあります」と説明した。
講師として参加したまつもとゆきひろ氏は、2020年に始まる初等教育におけるプログラミング教育について、「IT人材の育成、ITイノベーションへの期待など、人によって目的が異なっていますが、プログラミングを算数や国語のように一般教科にするのは無理ではないでしょうか。理由としては、教える人材がいない点と、人によって100倍、1000倍の開きが出て、5段階評価を行うことには無理がある点です。先行する高校教育でもうまくいっていません。教科として実施すれば、プログラミングを嫌いになる人を量産することになります。ただ、興味をもちそうな人にチャンスが与えるという体験教科として実施するのであれば、意味があると思います」と語った。
また、Rubyの用途については「Webアプリでの利用が圧倒的で、素早く簡単に作成できるので、プロトタイプづくりに向いています。とくに小さな企業には向いているのではないでしょうか。Twitterも最初はRubyで作成されていました」と説明した。