デジタルガレージ(DG)と弁護士ドットコム、りそな銀行の3社は3月5日、個人向けローン業務の効率化を実現するスマートコントラクトシステムの実証実験を開始したと発表した。同実験は、仮想通貨ビットコインに用いられているブロックチェーン技術を活用した国内初の開発事例だという。

今回のスマートコントラクトシステムの対象業務には、「自動借入」「自動返済」などの取引が含まれ、顧客と銀行間であらかじめ設定された条件に基づいて、取引および付随する手続きが自動執行されるシステムを構築。実証実験において構築されたスマートコントラクトシステムの有用性、課題などを検証し、業務の効率化と顧客利便性の向上を目的として、将来的に実用化することを目指す。

  • 個人向けローン業務でブロックチェーンを活用した実証実験

    実証実験のイメージ

実験にはBlockstream社が提供する、ビットコインを基軸としたブロックチェーン技術「Elements(エレメンツ)」を基盤技術に採用。オープンイノベーション型の研究開発組織「DG Lab」では、セキュリティと安定性で厳しい要件が求められる銀行業務システムにおいて、ビットコインをベースとするブロックチェーン技術は、他のブロックチェーン技術と比べ大きな優位性を持つと考えているという。銀行における基幹事業の1つである「個人向けローン」を対象とする同実証実験の結果を受けて、将来的には銀行内のさまざまな契約関連業務の効率化を実現していく予定だ。

なお、実証実験段階においてはプライベート型、あるいはコンソーシアム型のブロックチェーンネットワークとしての構築を行うが、将来的には、ブロックチェーンの本来のメリットを引き出す構成であるパブリック型ブロックチェーンでの展開を見据えているという。

3社の役割としては、DG/弁護士ドットコムはブロックチェーン技術の開発・運用を、弁護士ドットコムは契約内容の精査と実用面における法的観点からの検討・検証を、りそな銀行はこれまでの個人向けローン業務の知見を元にした検証・提言およびスマートコントラクトを前提とした業務設計を担う。