NTTデータは1月25日、記者向けの説明会を行い、金融向けクラウドサービス「OpenCanvas」にAIマルチ接続機能「AI Connector」を追加すると発表した。
複数のAIを活用するAPIでAIサービス開発を支援
「OpenCanvas」は、API管理機能などを備えたクラウドサービスで、オープンイノベーションの創発を実現するSoE(System of Engagement)基盤を目指している。同サービスの基盤(IaaS)、ソフトウェア(PaaS)、サービス(SaaS)の各レイヤーにおける機能を活用することで、FinTech関連企業や金融機関はさまざまなサービスを構築することができる。
今回、追加されるAIマルチ接続機能「AI Connector」は「画像」「音声」「動画」「言語」などの各種データと複数のAIをマルチに接続できるというもの。AIを活用したFintechサービスの迅速な提供を支援する。
「AI Connector」には、マルチデータに対する処理機能「AI Library」が搭載されており、AIを利用する際に必要な処理は「AI Connector」側で実行してくれる。AIに適用させるためのデータ加工処理が必要なくなるため、アプリケーション開発に専念することができるという。
また、複数のAIを組み合わせて学習を行う「Multi AI」によって、より高精度のAIを利用したサービス提供が可能だ。さらに、「Data Store」と呼ばれるAIの利用で必要になる各種データの内部管理機能を提供することで、ケースに応じてAIデータを使い分けることができる。
NTTデータ 第四金融事業本部 e-ビジネス事業部 課長の今直之氏は「表情の読み込みが得意なAIや顔認証が得意なAIなど、AIはそれぞれ得意分野が異なる。それらを組み合わせることで、AIの精度を高めることができる」とMulti AIの強みを述べた。
なお、サービスは2018年3月から試行提供を開始する予定だ。
NTTデータが導き出した2018年の情報トレンド
また、説明会では、情報社会を取り巻く大きな潮流とITのトレンドを示す「NTT DATA Technology Foresight 2018」について、NTTデータ 取締役常務執行役員 技術革新統括本部長の木谷強氏から発表があった。
木谷氏は「技術の進展は非常に速い。社会も大きく変わっており、我々の暮らしやビジネスに影響を与えている。トレンドをまとめて発表することには大きな意味があると考えている。また、ワークショップなどを通じてお客さまと一緒に新しいサービスを新しい技術により作り上げ、社会全体の発展を目指していきたい」と、同社のビジネスの方向性を述べた。
NTT DATA Technology Foresightは、政治・経済・社会・技術の4軸で変化をとらえ、そこから導出した将来予見を「情報社会トレンド」と「技術トレンド」として公開しているもの。2018年はAIに注目し、4つの情報社会トレンドと8つの技術トレンドを導出された。
情報社会トレンドは「個の影響力拡大が社会の変革を促進する」「オープンな連携が新たな社会のしくみを生み出す」「情報の持つ価値の活用がビジネス再構築を加速する」「フィジカルとデジタルの融合が意識や行動を変化させる」の4つ。技術トレンドは「人工頭脳の浸透」「協調志向オートメーション」「超融合インタフェース」「持続可能なデータ活用」「生命課題への挑戦」「サイバーインテリジェンスの結集」「ITインフラの多様な進化」「イノベーションデザイン」の8つだ。
今回のNTT DATA Technology Foresight 2018では、グローバルのダイナミズムを反映すべく、各国における技術動向や顧客動向、実際に世界各国で顧客と連携しイノベーションを生み出しているNTTデータグループの知見を集結させたという。
これらのトレンド情報を基に、同社では先進事例を多数交えて解説するプライベートセミナーや、将来のビジネスや業界の方向性がどう変化していくかなどの意見交換も行っている。