「FREETEL」ブランドでスマートフォンや通信サービスを提供していたプラスワン・マーケティングが、12月4日に東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。11月に、楽天に通信事業を売却したばかりであるにもかかわらず、経営破綻に至ったのはなぜだろうか。

民事再生法適用を受けFREETELの新規サービス受付は停止

年の瀬を迎えた12月4日、「FREETEL」ブランドで知られるプラスワン・マーケティングが東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請するという、大きなニュースが舞い込んできた。同社は11月1日に、MVNOによる「FREETEL SIM」ブランドの通信事業を、楽天に5億円で売却したことを発表したばかり。それからわずか1カ月余りで、経営破綻という結果を迎えたことになる。

  • 楽天に通信事業を売却した後も端末事業を継続していたプラスワン・マーケティングだったが、約1カ月後に民事再生法の適用を申請。事実上の経営破綻となった

楽天に通信事業を売却した後も、プラスワン・マーケティングはスマートフォンの開発・販売のほか、楽天の代理店となってFREETEL SIMの販売を継続。端末とネットワークのセット販売「スマートコミコミ+」なども継続して提供していた。だが今回の民事再生法申請によって、FREETEL SIMを含め各種サービスの新規受付は全て停止。スマートフォンやアクセサリの販売も、現在販売を一時休止するとしている。

また既存のFREETELユーザーに関して、定額通話サービスの「FREETELでんわ」、そしてFREETEL SIMなどは楽天がサービスを引き継いでいるため継続利用が可能だという。しかしながら定期的な端末買い替えがしやすくなるプログラム「とりかえ~る」など、今後の動向に関して明確に決まっていないサービスもいくつか見られるようで、契約者には不安が続くことだろう。

なおプラスワン・マーケティングの今後に関しては、現在スポンサー候補とされているMAYA SYSTEMらと協議中とのこと。それゆえ同社の事業がどうなるのかはまだ不透明な部分が多く、今後の発表が待たれる所だ。

プラスワン・マーケティングはここ1、2年のうちに急速に事業を拡大しており、有名タレントを起用したテレビCMを積極展開していた。それゆえ「FREETEL」というブランド名を聞いたことがある人も多いのではないだろうか。それほど勢いのあった同社が、なぜ民事再生法を適用するまでに至ったのかを、同社の歴史を振り返りながら追ってみよう。