2017年11月29日から12月2日までの4日間、東京・台場の東京ビッグサイトにて開催されている「2017 国際ロボット展(iREX 2017)」において、パナソニックは「人に寄り添うロボティクス技術」と題して報道陣向けの説明会を実施した。
「人とロボットが共存する未来において、重要なのは安全性」とパナソニックの生産技術本部 ロボティクス推進室の安藤健氏は語る。同社では、自社の有するデバイス技術とICT/IoT技術を融合させ、ロボット技術としてさまざまな分野への適用を目指しているという。「現在注力しているのは、 物流・店舗 、 介護・福祉 、 インフラ点検 、 農業 、 家事 、 パーソナルモビリティ の6分野」であり、すでに商品化されているものから、まだ開発中のものまで、さまざまなものが検討されている。
農業分野の労働力不足を解消
まず、労働力不足の解消が喫緊の課題となっている農業分野に向けたソリューションとして、「トマト収穫ロボット」が紹介された。
同ロボットは、内蔵されたセンサによってトマトのRGB値を測定し、赤色のトマトを判別することで、食べられるトマトのみ収穫するというもの。これにより、人による収穫作業工数の削減を図ることができるようになるという。「これまでにも同様の作物を収穫するコンセプトのロボットは開発されていたが、AI技術を活用することによって、従来80% 程度の収穫率だったものを、96% 程度まで向上させることに成功した」(同氏)そうで、2018年度のサンプル提供、2019年度の商品化を目指す。
「移動」をサポートするモビリティ
次に、同社がWHILLと共同開発中のロボティックモビリティ「WHILL NEXT」が紹介された。操縦ミスをした際にも衝突を防止することが特徴で、障害物をめがけて運転すると、一定の距離で自動停止するデモンストレーションが実施された。自動停止した後に前進指示を行うと、ゆっくりと前進することが可能であるため、例えば、机の上にあるものを取りたいときも、任意の距離まで近づくことができるという。人に寄り添うロボティクス技術を重要視する同社ならではの、細かな配慮が垣間見えた。
「人と寄り添う」がキーワードの各種ソリューション
そのほか、医療現場で稼働中の自律移動ロボットや、広範囲での3次元距離計測を実現する3D LiDAR、ロボット関節部のケーブルレス化を実現する「非接触給電ユニット」などの紹介も行われた。加えて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ブースでも、パナソニックが参加しているコンソーシアムが開発した林業用アシストスーツが展示されている。
これらのソリューションはまだ開発中のものであるものも多く、今後、高性能化・サンプル提供を通じて商品化を目指すとのことだ。