IDC Japanは11月16日、国内ITサービス市場におけるITインフラストラクチャの設計/構築、アウトソーシング、サポート&トレーニング、セキュリティの各領域の影響を定量的に切り出した、国内ITインフラストラクチャサービス市場予測を発表した。これによると、2016年の国内ITインフラストラクチャサービス市場規模は2兆4913億円、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は1.0%、2021年の市場規模は2兆6235億円と予測している。
2016年のITインフラストラクチャコンサルティング&インテグレーション市場は、企業の業績回復による投資が落ち着いた反動から、前年比成長率は1.0%となった。
2017年以降、成長率は緩やかに低下し、2021年には東京オリンピック後の景気の不透明感や、ITインフラよりもアプリケーションの開発/導入に対する支出の方が優勢になると想定され、クラウドの利用拡大に伴い構築案件の規模が小型化する傾向があることなどから、マイナス成長になると推測。2016年~2021年のCAGRは0.1%を見込んでいる。
ITインフラストラクチャアウトソーシング市場は、クラウドサービスやデータセンターサービスなどに支えられ、2016年の前年比成長率は3.4%と堅調だった。2017年以降も、ハイブリッドクラウド/マルチクラウド環境を含む企業ITインフラ全体の運用管理サポートの需要拡大などにより、成長率を緩やかに下降させつつも、ITインフラストラクチャサービス市場全体を牽引するセグメントになると想定し、2016年~2021年のCAGRは2.6%と予測している。
また、ITインフラストラクチャサポートサービス市場は、ハードウェアサポート&保守の縮小傾向の影響から、2016年~2021年のCAGRはマイナス1.1%を見込んでいる。
さらに、情報セキュリティ対策に対する国内企業の高い投資意欲を反映し、ITインフラストラクチャセキュリティサービス市場の2016年の前年比成長率は4.8%を示し、攻撃側におけるAI(Artificial Intelligence)の導入などサイバー攻撃が高度化するとともに攻撃の規模も拡大しており、企業が自社でセキュリティ対策を行うことが困難になっているという。これらを背景に、主にマネージドセキュリティサービスに牽引されて、2017年以降も高い成長率を維持すると推測しており、2016年~2021年のCAGRは6.1%になると予測。
企業のITインフラにおいては、複数のクラウドとオンプレミスの混在は珍しくなくなり、第3のプラットフォームと第2のプラットフォームが同居する環境も増加しつつあるという。同社のITサービス シニアマーケットアナリストである吉井誠一郎氏は「ITサービスベンダーは、パートナーも含め、ますます複雑化する企業のITインフラ環境を全社レベルで総合的にサポートできる体制とメニューを充実させるべきである」と、述べている。