仏シュナイダーエレクトリックは9月25日~26日に香港で「Innovation Summit 2017」を開催したが、最終日の9月26日に同社のIoT事業のキーマンであるSchneider Electric IoT and Digital Transformation Executive Vice presidentのCyril Perducat氏にインタビューの機会が設けられたので、その模様をお届けする。
シュナイダーの強みは?
Perducat:テクノロジーだけではないが、プラットフォームはすべての産業に使われるものでなければならず、30~50年蓄積してきたノウハウを組み込み、専門性を有するプラットフォームであるという点が挙げられる。また、エコシステムの規模は何千というパートナーが存在し、整合性のあるIoTを構築することで最終的に顧客に価値を提供することを可能としている。
IoTのプロジェクトで難しいものは?
Perducat:さまざまな国にまたがり、多様な工場を網羅することだ。例えば、1つの製品を1カ所の工場で導入することは比較的簡単だ。しかし、国別をまたがり拡張する場合、それぞれの工場の専門性やネットワーク、チームの能力などが異なるため、ハードルが高い。IoTの拡張は難しく、スケールイン・アウトが難しい。一方で、AIの活用はチャンスと捉えており、AIをどのように機械などに組み込むことが今後のカギとなり、工場における詳細なアナリティクスなどを可能としていくだろう。
ゲートウェイの役割としては、データをデバイスから取得しクラウドに展開するのか、エッジで分析を行うのか?
Perducat:多様なケースがあり、1つの回答はない。基本的には3つのケースがあり、1つ目はコントローラがエッジになる場合、2つ目はゲートウェイがエッジとしてアグリゲートする場合、3つ目はコミュニーケーションの役割をアーキテクチャのみで行う場合となる。
IoTに対するセキュリティについては?
Perducat:コネクティビティが高まると、セキュリティリスクが高まるのは一般的だが、われわれのテクノロジーを利用すればリスクを最小限に抑えられる。サイバーセキュリティのデータ侵害は、システムのパッチングなどを実行していないケースが散見される。
すべてのリスクを予測することは、あらゆるベンダーでも困難であると言えるが、われわれはリスクが発生した場合に抑えこみ、拡散しない技術を設計段階で反映しているほか、ハードウェアのエンクリプションをデバイスに統合するなどの取り組みを行っており、どのようにリスクを管理し、軽減するのかが重要だ。リスクは消えることはなく、少なくともモニタリング・数値化することで、対処が可能になる。
いろいろなパートナーとIoTの協業を行っているのか?
Perducat:IoTは、すべて自社で行うことは難しいため、共同開発やエコシステムを構築することが重要であり、サプライヤーだけでなく、カスタマーとも共同で取り組むことが望ましい。IoTは得てして、テクノロジーが実際にどういうものを解決できるのか分からないまま、製品化しているものもあり、顧客はどのテクノロジーを活用し、問題を解決するのかということを考えなければらない。
多くのIoTプラットフォームが市場を席巻しているが、互いにコラボレーションしていくのか、もしくは統合・再編されていくのか?
Perducat:すでに統合・再編は起こっており、小さいプレイヤーは買収されている。すべてのプレイヤーがIoTプラットフォームを持つ必要はなく、実際に何が必要なのか、顧客にどのような価値が出せるのか、ということが重要だ。エコシステム自体が顧客の能力を引き出すプラットフォームでなくてはならない。