大日本印刷(DNP)は9月29日、経済産業省の「おもてなしプラットフォーム」の実証事業に参加し、生活者が自身の個人情報を「パーソナルデータストア(PDS)」で管理し、利用したいサービス事業者に自身の情報を開示してサービスを享受できるVRM(Vendor Relationship Management:ベンダー関係管理)システムを提供すると発表した。

おもてなしプラットフォームは、経済産業省の「IoT推進のための新ビジネス創出基盤整備事業(IoT活用おもてなし実証事業)」の一環で構築している、さまざまな地域・事業者が得られる訪日外国人旅行者の属性情報や行動履歴といったデータについて、訪日外国人旅行者の同意の下、統合的なプラットフォームに蓄積し、利活用する仕組み。

昨年10月に1回目の実証事業を行っており、同社では2017年10月から2回目の実証事業が10の地域に拡大して本格的に開始されることから、VRMシステムの機能を拡充し、引き続き参加することにした。

10月からの実証は全国10地域における地域実証とともに、得られた情報を経済産業省の実証事業の委託を受けてデロイトトーマツが運営・提供するおもてなしプラットフォーム「miQip(マイキップ)」に共有・連携する仕組みを実証し、情報連携のためのデータ様式やプライバシーポリシーなど、共通のルール整備に取り組み、さまざまな地域・事業者が参入しやすい環境を整備する。

同社のVRMシステムは、訪日外国人がPDSで設定した1つのIDで、日本各地で提供される観光や買い物、グルメ情報など、さまざまな事業者の情報提供をはじめとしたサービスを利用することができる。今回、新たに分析機能と認証ステップ簡易化の2つの機能を追加している。

DNPのVRMシステム

分析機能は、おもてなしプラットフォームに登録された訪日外国人の属性情報と各地域での行動履歴情報を、あらかじめ利用者の同意を得た上で総合的に分析・集計し、グラフや地図などに可視化する。同プラットフォームに参加している事業者は、そのほかの地域も含め、訪日外国人の行動を横断的に分析することにより、自社単独のデータだけでは実現できなかったサービスの改善や新たなマーケティングができるという。

認証ステップの簡易化に関しては、訪日外国人が複数のサービスを利用する際の認証ステップとして、利用者の同意があれば、一定期間内は一回の認証手続きで利用できるようになり、利便性が高まるとしている。

同社では、VRMシステム(PDS)を活用したVRM事業を推進しており、さまざまな分野やサービスに展開しており、その中の一つとして、同プラットフォームへのVRMシステムの社会実装を進め、社会と生活者の安全・安心な情報流通環境を提供していく考えだ。