内閣府は9月1日、企業、大学、公的研究機関などの産学官連携活動において、大きな成果を収め、あるいは先導的な取組を行うなど、産学官連携活動の推進に多大な貢献をした優れた成功事例に関し、その功績を称えることで日本の産学官連携活動のさらなる進展に寄与することを目的とした取り組みである「第15回 産学官連携功労者表彰」の受賞者の表彰を行う授与式を執り行った。
同表彰は、内閣府による公募の後、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省および環境省といった関係省での予備選考ならびに推薦を経て、総合科学技術・イノベーション会議有識者議員および外部専門家により構成される選考委員会の選定により受賞者が決定されたもの。全国各地の大学や企業、公設試験場、高等専門学校など、さまざまな機関から70件以上の応募があったとのことで、最優秀賞である内閣総理大臣賞を受賞した「単結晶ダイヤモンドの工業製品化」の事例について、選考委員会主査である原山優子氏(内閣府 総合科学技術・イノベーション会議 有識者議員)は、「我が国のもの作りの強さを活かしつつ、ベンチャーと国立研究開発法人の密な連携体制の下、世界に打って出て、シェアを勝ち取って行く、まさに"攻めの連携モデル"といえる」と評価したほか、科学技術政策担当大臣賞の「フレキシブル有機エレクトロ二クス実用化基盤技術の開発に係る産学官連携」については、「企業出身の大学教員による"ニーズ・ファースト"とも言える、徹底した企業ニーズ解決型の取組が実施された結果」と評価、こうした取り組みが、今後の連携において大いに参考になるだろうと付け加えた。
内閣総理大臣賞となった「単結晶ダイヤモンドの工業製品化」の受賞者の1人であるイーディーピー(EDP)代表取締役社長の藤森直治氏は、受賞に際し、「ダイヤモンドはさまざまな特性と有しており、今回の受賞の元となった気相合成法は1981年に日本で生み出された技術。それを元に25mm×25mmの単結晶ダイヤモンドウェハを製造する技術へと発展させ、ビジネス化したのがEDPであり、現在、工具や光学部品、人工宝石のための種結晶などで活用されている」と説明するほか、パワー半導体向けウェハの開発も継続して進めているとしており、今後は2インチオーバーのモザイクウェハの実用化や、1インチのパワー半導体向け単結晶ウェハの開発などを進め、事業の拡大を図っていき、2020年には売上高40億円、純利益11億円を目指すとした。
なお、前述の原山氏は、総評として、「今回の受賞事例はオープンイノベーションにより、日本を新たな価値やサービスを絶え間なく創出する国にしていくためのロールモデルとして、広くシェアされていくべきもの。ぜひ、今回の受賞事例を参考にしてもらい、科学技術イノベーションの推進と我が国の産学官連携のさらなる活性化に取り組まれ、今後も優れた成果が次々と生まれることを期待したい」と、今後も産学官の連携が日本の産業界の活性化につながるものになることへの期待を述べていた。