富士ゼロックスは7月27日、工業製品などの物体表面に偶然生成された固有のランダムパターンを識別する技術「Yoctrace(ヨクトレース)」を開発し、印刷業などを対象にしたライセンス提供を開始したと発表した。
同技術は画像処理技術を活用し、独自のアルゴリズムにより「真贋判定」や大量のデータから1つの情報を識別する「一意識別」を可能にしたもの。商品券やIDカードの真贋判定や偽造防止に加えて、ブロックチェーン技術と組み合わせた仮想通貨のセキュリティ強化にも貢献するとしている。
具体的には、対象となる工業製品の物体表面を撮影やスキャンすることで画像情報を登録。その後、照合したい物体の同じ個所を撮影することであらかじめ登録された画像と照合し、識別を行う。指紋認証のように特徴点を抽出するのではなく、ランダムパターンをもった画像全体を照合するため極めて高い精度で照合できるとしている。
また、同社は光学系のノウハウを保有しているので、物体表面を撮影する際の濃淡や凹凸などの陰影に依存しないようにしているという。
さらに同技術では、個別のシリアル番号やバーコードなどのタグを付与する必要がないため、タグ付けが難しい錠剤のような小さい物体の識別も可能だ。
同社は今後、一意識別可能な技術の特性を生かし、偽造防止だけでなく、製造工程の品質管理や物流の効率化のためのさまざまな物体の個体履歴と製造履歴を紐付けるIoT技術としての利用検討を進めていくとしている。