7月10日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2017年上半期の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年同期の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では4247件/2兆1958億2000万円、商工リサーチの発表では4267件/2兆2104億3800万円となっている。

帝国データバンクの調査結果

2017年上半期の倒産件数は4247件(前年同期4114件、前年同期比3.2%増)と、8年ぶりの前年同期比増加となり、前期比でも5年ぶりの増加となった。四半期ベースで見ると、2017年第1四半期(2062件、同0.5%減)は前年同期から微減となったが、第2四半期(2185件、同7.1%増)は前年同期比増加となり、倒産動向に変化の兆しが見られるという。

2017年上半期の負債総額は、タカタのリコール費用に係る求償債権の合計を除くと、8658億2000万円(前年同期7677億9600万円)、前年同期比12.8%の増加となり、5年ぶりに前年同期を上回った。2半期連続で前年同期を上回ったのは2009年上半期以来、8年ぶりだという。

今回、タカタの負債額は6月26日発表の1826億3300万円として集計、取材などで判明した国内主要自動車各社のリコール費用に関わる求償債権の合計を含めると、負債総額は2兆1958億2000万円(前年同期比186.0%増、前期比79.4%増)。

件数の推移(年半期別) 資料:帝国データバンク

負債総額の推移(年半期別) 資料:帝国データバンク

業種別では、7業種中5業種で前年同月を上回った。なかでも、小売業(962件、前年同期比10.4%増)は2012年上半期以来5年ぶり、製造業(533件、同2.9%増)は2012年下半期以来4年半ぶりに前年同期を上回った。一方、建設業(768件、同5.8%減)と卸売業(651件、同1.2%減)の2業種のみ、前年同期を下回った。

地域別では9地域中6地域で前年同期を上回り、北海道(148件)、関東(1618件)、中部(617件)の3地域は2半期連続で前年同期比で増加した。近畿(1108件)は2012年上半期以来5年ぶりの前年同期比増となった。一方、九州(248件)など3地域は前年同期を下回った。

東京商工リサーチの調査結果

2017年上半期の全国企業倒産件数は4267件で、前年同期比0.1%減(6件減)となった。上半期としては8年連続で前年同期を下回り、1990年(2,948件)以来の低水準にとどまったという。その背景には、金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じていることに加えて、国内景気の緩やかな拡大も影響していると見られるとしている。

対する負債総額は2兆2104億3800万円、前年同期比178.5%増(1兆4,168億3,500万円増)で、5年ぶりに前年同期を上回った。上半期としては2012年(2兆76億6,700万円)以来の2兆円超えという。

これには、製造業倒産としては戦後最大になった、上場企業で自動車部品製造のタカタ(負債1兆5024億円)の民事再生法の適用申請が影響している。この1件だけで上半期負債の約7割(構成比67.9%)を占めたとのこと。

企業倒産上半期推移 資料:東京商工リサーチ

産業別では、農・林・漁・鉱業、建設業、製造業、卸売業、小売業、金融・保険業、不動産業、運輸業、情報通信業、サービス業他の10産業のうち、6産業で前年同月を下回った。上半期で前年同期より増加したのはサービス業他の1229件(前年同期比10.1%増)で、2年連続で増加した

不動産業148件(前年同期比4.2%増)は8年ぶりに増加し、情報通信業178件(同10.5%増)と農・林・漁・鉱業33件(同17.8%増)がともに5年ぶりに前年同期を上回った。

地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、6地区で前年同月を下回った。近畿が1069件(前年同期比0.9%増)で、上半期としては8年ぶりに増加に転じたほか、関東1720件(同4.9%増)と北海道153件(同16.7%増)が5年ぶりに前年同期を上回った。