NTTデータグループのNTTデータ ニューソンとNTTデータ北陸、ヨシダ印刷は7月3日、NTTデータのR&D成果を活用して開発したNTTデータ ニューソンのソリューション「スマートグラスを活用した遠隔作業支援システム」の実証実験を7月3日より開始すると発表した。
同システム、現場で単独作業を行う作業者がスマートグラスをハンズフリーで操作し、作業進捗状況や映像等を遠隔地の管理監督者に共有することにより、管理監督者からの的確な指示やサポートを実現するとともに、技術伝承や教育などにも活用できるという。
これまでヨシダ印刷をはじめとする多くの生産現場では、生産設備の各種機器メンテナンスなどが必要な場合、都度機器メーカーから技術者や専門の保守サービス員を派遣し、対応している。しかし、その間に発生する時間ロスや代替コストなどによる生産効率の低下は否めず、改善を図る必要があったため、改善手段としてスマートグラスを活用した遠隔作業支援システムを選択し、実証実験を行う。
従来のスマートグラスを活用した遠隔作業支援システムは、機器メーカーの保守サービス員がスマートグラスを装着・操作し、同メーカー内からの指示・サポートを遠隔地より受けるという状況を前提としていたが、ノウハウを持った保守サービス員は数が限られ、全国への移動も限度があるという。
そこで、現場の設備を目前にしているユーザー側の機器オペレーターがスマートグラスを装着・操作し、遠隔地にいる機器メーカーの保守サービス員からの指示・サポートだけで機器交換などのメンテナンス作業をスムーズに実施できるかを検証する。
具体的には、生産設備機器の休止時間はどの程度短縮するか、保守サービス員の負担がどの程度軽減するか、機器オペレーターによる保守作業がスムーズに進行できるかなどを目的としている。
各社の役割分担として、NTTデータ ニューソンはスマートグラスを活用した遠隔作業支援システムの開発・販売を行っており、今回の実証実験にシステムを提供。実証実験中に発生すると想定される、遠隔作業支援システムやスマートグラス本体の操作や機能詳細などの問合せに対応する。
また、ヨシダ印刷は生産設備を保有しており、スマートグラスを着用して機器メンテナンスを実行。今回の実証実験の主担当となる。NTTデータ北陸は現地でのプロジェクト推進を支援し、NTTデータ ニューソンとヨシダ印刷を結んでの各種連絡窓口。なお、今回の実験は、ヨシダ印刷のグループ会社であるワイピービズインプルーブがプロジェクト推進の役割を持ち、進めていく。
今回の取り組みにより、ユーザー側のヨシダ印刷は現場の機器オペレーターのノウハウレベルに左右されず早期のシステム復旧が可能になり、生産効率を維持または向上させることが期待できるという。さらに、機器メーカー側は全国に納品されている機械・設備のユーザーへ、自社の熟練技術者のサポートをリアルタイムに提供することが可能になるとともに、技術者派遣の移動時間や費用を低減させることで、サービスレベルを向上させ、今後の拡販にも寄与することが期待されている。
今後、NTTデータ ニューソンは今回の実証実験で得られた情報をスマートグラスを活用した遠隔作業支援システムにフィードバックし、機能の改善を行なうと同時に、印刷業界の事例をほかの製造現場に展開していく。加えて、ヨシダ印刷グループは実証実験の終了後、実運用に向けての修正を実施した上で、今回の実績を元に、拠点である北陸地方における同システムの営業販売を行うための業務提携をNTTデータ北陸、NTTデータ ニューソンと進めていく予定だ。