米ジュニパーネットワークスは6月20日(現地時間)、サービスプロバイダと企業向けに、クラウドネットワークの構築を簡素化する新ビジョン「Cloud-Grade Networking」を発表した。これにはアプリケーションやサービスの構築・提供・保護の方法に関する新しい要素が含まれ、テレメトリや自動化、機械学習をはじめとするテクノロジーの融合により、クラウド移行に伴うIT課題に対応するという。

同ビジョンは、プラットフォーム型アプローチ、ディスアグリゲーション、「Self-Driving Network」「Software-Defined Secure Networks」の4要素で構成する。

プラットフォーム型アプローチとしては、新たに「Junos Node Slicing」を提供する。これにより「Junos OS」が単一の物理ルーティングインフラで複数ネットワーク機能の共存をサポートする。また、サービスプロバイダーや企業は、強化したオペレーションとアドミニストレーションを独立させた状態で、単一のシャーシ上で異なるサービスを提供し、インフラを最適化できるとしている。

また、ネットワークソフトウェアを基盤のインフラから分離することで、サービス導入の促進、資本支出の削減、全体的なオペレーション効率の向上を実現するように設計。オペレーターは各管理ドメインを維持し、複数のサービスやインスタンスを単一のルータにより稼働が可能になる。

加えて、新しいクラウド向けのシャーシである「Universal Chassis」により、オペレーターはデータセンターと広域ネットワークにおけるすべてのルーティングやスイッチングの導入を、統合したプラットフォームで標準化を可能としている。

これは、データセンター/コア/ネットワークエッジを、ユーザーが単一のハードウェアプラットフォームで標準化でき、物理シャーシからラインカードを分離することで、ユーザーは多様なユースケースに対してルーティングプラットフォームをソーシング/調達/導入するという運用上の負担を軽減できるという。

同シャーシは、同社の「PTX10008」「PTX10016」「QFX10008」「QFX10016」に対応し、将来的には「MXラインカードシリーズ」にも対応を予定。ネットワーク全体において、共通のハードウェアプラットフォームが最適化した一連のルーティングユースケースをサポートするため、常に変化するビジネス要件に適応し、ユーザー企業に競争優位性を提供するように設計した。

そのほか、2つの新たなプロフェッショナルサービス(PS)と「NorthStar Controller」の機能を拡張し、Self-Driving Networkビジョンを推進していく。これは、応答性、適応性、予測性に優れたインフラを構築するために、テレメトリ/ワークフロー自動化/DevOps/機械学習を組み合わせて実現している。

プロフェッショナルサービスでは、2つの新しい自動化のサービスを開始。1つ目のサービスは継続的なネットワークインフラの統合により、ネットワーク環境の設計、テスト、導入、監査を自動化し、数カ月要していた新たなネットワーク変更の評価を数時間で実現するという。

2つ目のサービスは、ネットワーク自動化をユーザー主導からイベント主導に移行し、ネットワークワークフローと、そのほかのITワークフローのシームレスな融合を実現するという。

NorthStar Controller機能の拡張に関しては、同社の広域ネットワーク(WAN)SDNでネットワーク全体における正確なトラフィックエンジニアリングの管理とプログラマビリティを実現するため、「Source Packet Routing in Networking(SPRING)」機能のサポートを拡大。

さらに、NorthStar Controllerは「Junos Telemetry Interface(JIT)」を通じたリアルタイムのストリームテレメトリをサポートするため、ワンクリックでリアルタイムトラフィックの可視化、トレンド、最適化を実現するとしている。

Junos Node Slicing、PTX10008、QFX Universal Chassis、NorthStar Controller機能拡張、および新しいプロフェッショナル・サービスの国内提供は6月29日に開始している。