6月22日、米Dell EMC ネットワーキング、エンタープライズ インフラストラクチャ、サービス プロバイダ担当シニア バイスプレジデントのトム バーンズ(Tom Burns)氏が来日。サービスプロバイダに対して、同社がどういった投資をしているかや他社とどう差別化しているのかを説明した。

トム バーンズ氏はまず、サービスプロバイダは現在、大きな転換点いると指摘し、その背景を次のように説明した。

「現在、IoTにより、いろいろなデバイスがインターネットに接続され、アプリケーションやワークロードにおいてもAIなどの新たな技術が登場し、それに対応する必要性に迫られるなど、サービスプロバイダおよびエンタープライズのユーザーは、デジタル変革の波にさらされている。そのため、これまでになかったインフラやテクノロジーへの対応が求められている。われわれは、そのお手伝いをしていく」

米Dell EMC ネットワーキング、エンタープライズ インフラストラクチャ、サービス プロバイダ担当シニア バイスプレジデントのトム バーンズ(Tom Burns)氏

そして同氏はこのような状況において、サービスプロバイダは新しいアーキテクチャーとテクノロジーに対してコストをかけずに、これまで以上のスピード感を持って対応していく必要があるほか、ITのコンシューマライゼーションにより、クラウドに多くのデバイスが接続されているため、それに向けた新たなサービスを提供していく必要があるとした。

具体的には、OpenStack、SDDC(Software-Defined Data Center)、DevOps、オーバレイ・ネットワークなどの技術のうち、どの技術を採用するのが有効なのか、あるいはどれが自分の所にフィットするのかを決断しなければならないという。しかし、サービスプロバイダは、自分たちにとってどの技術が有効なのかがわからなくなっているため、同氏は「最適な道のりを見つけるためにもパートナーが必要だ。それがDell Technologyだ」とアピールした。

現在、Dell EMCがサービスプロバイダが最初やるべきこととして提唱するのは、データセンターのモダイナイズ(最新化)だという。これを行うには、エッジまで含めた一貫性を担保することが重要で、SDDCやクラウドプラットフォームに集約できるという。

「これまでのデータセンターは、サーバ、ストレージ、ネットークがサイロ化され、稼働率が低く、無駄が多った。そのため、Dell EMCでは、サーバ、ストレージ、ネットーク全体を仮想化していくことを行っている。それによって、リソースの稼動率の最適化を図っていく。それがDELL EMCが考えるSDDCの形だ。今後は、ビジネス上の意思決定をソフトウェアベースで行うことが求められてくる」(トム バーンズ氏)

その上で同氏は、DELL EMCの他社との差別化ポイントには、製品とアーキテクチャの2つがあるとした。

「製品については、オープンという立場で、コモディティなハードウエアを使うことで、初期コストだけでなく、運用コストを含めて最適化できる。また、ハードとソフトを分離していくことも重要な考え方だ。競合は両方を一体で提供しているため、ベンダーロックインが起こっている。オープンなコモディティのハードウエアを使うことで、好きなベンダー製品を組み合わせて使えるという柔軟性も生まれ、コストを下げることができる」(トム バーンズ氏)

しかし、コモディティなハードウエアを使うと、自社の特徴を出しにくくなるのではないだろうか?

この点について同氏は、「コンポーネント単位では特徴を出しにくいが、それをどう組み立てていくかというアーキテクチャの部分がわれわれの差別化要素になる。たとえば、消費電力、冷却効率、コスト、拡張性などで、われわれは知財を活かして差別化を図っている。また、DELL EMCは非常に規模が大きいため、そのスケールメリットを活かし、販売価格を下げることができる」と説明した。

同社では、サービスプロバイダー向けの開発投資を積極的に行っており、検証済システムとリファレンスアーキテクチャを提供しているという。

検証済みシステムについては、自動化をキーワードにVMwareとOpenStackに注力しているいるほか、Azureについてもハイブリッドクラウド用の検証済みシステムをマイクロソフトと一緒に作っているという。

VMwareは、EMC時代は独立性が担保されていたが、Dell Technologyの傘下になって、位置づけが変わっているという。

「今後もVMwareの独立性や中立性を尊重していくが、EMC時代の緩やかな連携から、戦略上重要なファミリー企業になっている。そのため、連携も強化されており、今後もその流れは加速していく」(トム バーンズ氏)

一方のリファレンスアーキテクチャについては、サービスプロバイダの収益源になる新たなサービスを提供していくために必要なものを提供し、Managed Connectivity、IaaS/PaaS、Business Applications As a Service、Big Data Services、Availability Servicesの5つに注力するという。

SDDCに向けて注力する領域

また、営業(Go-To-Market)も強化し、これまでのようにプロバイダに製品を売ったら終わりではなく、プロバイダと一緒に売っていく「Sell With」や「Sell through」にも力をいれており、具体的には新しいサービス開発する部分から一緒に活動したり、クラウドを利用したい顧客を紹介したりしているという。

サービスプロバイダむけのGTM(Go-To-Market)モデル