一方で、300万以上の案件は、すべて社長決裁とし、契約書のすべてを戴社長がチェックしていることを示しながら、「昨年度だけで、1000億円以上ものコストセービングを実現した。また、シャープの社員のほとんどが、営業マンか、技術者であり、経営の専門知識が足りなかった。そのため、外との契約には期限がないものも多く、不利なものもあった。昨年9月、東京のある会社と液晶パネルの取引についてミーティングをしたが、先方から値下げ要求があった。シャープは、その会社との取引で、4年間で1600億円もの赤字を出している。赤字なのは経営体制の問題であり、ガバナンスの問題、管理の問題である。技術者ばかりであり、詳しくチェックしないこともいけなかった」とする。

そして、「シャープは過去6年に渡って、液晶事業が大赤字であった。だが、液晶は駄目な事業ではない。昨年4月に、今後2年から4年で黒字化するとしたが、わずか3カ月で黒字化した。私は、リストラを行わずに黒字化した。前の社長は、何度リストラをやったのか。ぜひ比較してほしい。これは経営の問題であり、社員の問題ではない。シャープの社員はがんばっている」と総括した。

さらに、東証一部復帰に関しても言及。「早めに復帰したい。6月29日あるいは30日に申請する」との考えを明らかにした。

なお、シャープは、2015年度において債務超過になったことで、東証から「上場廃止に係る猶予期間入り銘柄」の指定を受けていたが、株主総会の翌日となる6月21日に、これが解除されたことを発表。その通知のなかで、2017年度における最終黒字化を目指すことを改めて示してみせた。

戴社長は、「私は、シャープが黒字化するまで給与はもらわない。そして、東証一部復帰してから社長を辞任する。その後、会長に就任することになるが、それまでに社長になる人を育てる。私は、有言実行の人である」とし、2017年度の黒字化と、東証一部復帰に意欲をみせた。

ちなみに、戴社長が無報酬なのは、「シャープの再生のために来ており、少しでもコストは下げたいという思いから」と、社長室長である橋本仁宏常務執行役員が説明。また、「戴社長は、毎日1万歩を歩くことを日課にしている。雨が降った日も社内を歩いている。これは、決めたことは必ずやるという強い意思を持ってやることの表れである」と、有言実行の姿勢が私生活にも及んでいるエピソードを紹介した。

液晶、有機ELへの考え

シャープは、2017年度の取り組みとして、「技術への積極投資」、「グローバルでのブランド強化」、「新規事業の加速」という3点を掲げ、「反転攻勢に向けた競争力を強化し、当期純利益の黒字化を目指す」としている。株主総会でも、これらの点を補足するような説明が行われた。

とくに「技術への積極投資」としては、有機ELと液晶に対する部分に時間をかけて説明した。