NEC通信システムは6月19日、NECのIoT基盤「NEC the WISE IoT Platform」のネットワーク機能を担う製品として、無線通信を使った独自の起動方式により、IoTデータを省電力かつ任意のタイミング(オンデマンド)で収集するシステム「NEC オンデマンド型無線ネットワーク」の発売を開始した。価格は個別見積もりで、今後3年間で売上累計約50億円(関連SIなど含む)を目指す。

水管理システムのイメージ

新システムは、センサ群を接続して920MHz帯の無線ネットワークで通信する「IoTデバイス」、IoTデバイスが収集したデータをサーバに転送する「IoTゲートウェイ」および機器管理を行う「運用保守サーバ」の3つで構成され、電源ケーブルや通信ケーブルの敷設が困難な場所でも省電力で効率的なIoTデータの収集を実現するという。

構成品の一覧

主な特徴として「無線通信を使った独自の起動方式により内蔵電池で長時間の連続稼働」「走行中の自動車や巡回中の点検者からオンデマンドでデータ収集」「IoTデバイス間をマルチホップで繋ぎ、広範囲のデータを一括収集」の3点を挙げている。

長時間の連続稼働については、IoTデバイスは通信機会が発生するまでは低消費電力で常時待ち受けしており、独自のフレーム長変調方式で実現した起動用の無線信号を受信した時のみ無線通信を行い、通信終了後は再度待機状態になる(ウェイクアップ方式)。要求があった時のみ動作することで、内蔵電池で約2年間の連続稼働(前提:1日数回の通信)を実現したという。

また、通信ケーブルや電源ケーブルの配線が不要で、通信距離が長くかつ広帯域通信が可能な920MHz帯Wi-SUN相当の無線通信を行うため、自由度の高い無線ネットワークの構築ができる。さらに、運用保守サーバから無線ネットワークの状況やIoTデバイスの電池残量が確認でき、適正なメンテナンス対応が可能なため、安定的なシステム運用を可能としている。

オンデマンドによるデータ収集に関しては、データ収集を行う移動体の接近を契機にIoTデバイスを即座にウェイクアップさせることで、移動体からのデータ収集が可能。ドライブバイ方式は、自動車や電車などの高速の移動体が接近したことを契機に、IoTデバイスを起動させてデータを収集する方式で時速100kmの移動体からデータ収集できる。ウォークバイ方式は、巡回中の点検者などが歩いて対象物に接近したことを契機に、IoTデバイスを起動させてデータを収集する方式となる。

ドライブバイ方式とウォークバイ方式の概要

広範囲のデータを一括収集することについては、IoTデバイス間を無線のマルチホップで繋ぐことで、通信可能エリアを拡張し、最大20ホップの通信によるデータ収集ができる。要求方式は、大規模な工場で広範囲に配置されたセンサを接続したIoTデバイス間をマルチホップで繋いでデータを一括で収集する方式となり、通知方式はセンサ検知を契機に、IoTデバイス間をマルチホップで繋ぎながら次々に起動させて、データを一括で収集する方式だという。

要求方式と通信方式の概要

同社では新製品を活用したソリューション例として、鉄道設備や電力設備などの社会インフラ領域の点検・監視向け、プロセス工場や組立こうじょうなどのファクトリー領域の点検・監視向けなどを想定している。