紆余曲折を経た「Nokia」端末

そもそもノキアは端末事業から撤退したと認識している人も少なくないだろう。かつて携帯電話市場で一時代を築いたノキアだが、スマホ移行の波に乗れ遅れた。端末事業をマイクロソフトに売却するも、フィーチャーフォン事業を持て余したマイクロソフトはフィンランド企業のHMD Globalに売却する。

いまではこのHMD GlobalがNokiaブランドの端末事業を展開する。元ノキアの従業員も残っており、ノキアのDNAを強く受け継いだ企業と考えてよいだろう。MWC 2017でも、ノキアブース内にHMD Globalの端末が並んだ。

MWC 2017のノキアブース

いまやスマートフォンはコモディティ化が進み、差別化は困難を極めている。だが、その中でもHMDはノキアのデザイン力と、中国企業の製造力を組み合わせることで市場に再挑戦しようとしている。

NokiaブランドのAndroidスマートフォンも発表した

ノキアのブランドは欧州やアフリカでまだまだ根強い人気があり、携帯といえばノキアという地位を確立している。そうした市場でAndroidスマホを求める若い層にアピールする一方、Nokia 3310のようなノキア時代の資産を活用することで、往年のノキアユーザーにもアピールするというのが狙いといえる。

レトロなものが脚光を浴びる時代に

Nokia 3310の背面には200万画素のカメラも搭載している。デジタル一眼レフにも迫る最新のスマホに比べれば取るに足らないスペックだが、どこかノスタルジックな感覚で撮れるのが面白い。

リアカメラは200万画素。画質はあまりよくない

このカメラを見て筆者が連想したのが、日本で再燃している「写ルンです」ブームだ。誰もがスマホで手軽に高画質の写真を撮れるようになったいま、性能が低く不便なインスタントカメラの新鮮さが受けている。

日本の携帯電話業界でも、KDDIが歴代の機種を振り返る「おもいでタイムライン」がイベントなどで人気コーナーになっている。かつてのガラケーの名機が最新の技術で蘇える日も近いかもしれない。