名古屋大学(名大)は2月9日、高齢者において見られる筋肉内に霜降り上に蓄積する脂肪(筋肉脂肪)が、加齢に伴う筋力の減少(サルコベニア)や運動機能低下と関係しており、中でも高齢男性では年齢とも関係していることを明らかにしたと発表した。
同成果は、名大 総合保健体育科学センターの秋間広 教授、田中憲子 講師、同大学院生らと早稲田大学によるもの。詳細は、「Archives of Gerontology and Geriatrics」に掲載された。
近年の研究から、筋肉脂肪は2型糖尿病の原因となるインスリン抵抗性を引き起こすこと、加齢、肥満および運動不足によって増加すること、筋機能にマイナスの影響を及ぼすことなどが分かってきていたが、高齢者において筋内脂肪に影響する因子は良く分かっていなかったという。
今回、研究グループは、地域の高齢者64名を対象に、筋肉内の霜降り度合いなどを調査。その結果、筋肉の霜降り状態が進んでいる人は筋肉量が少ないことが示されたほか、筋肉の質的な変化も生じていることが確認されたという。また、男性では加齢に伴う筋肉の質的変化の影響が大きいことが示されたほか、この筋肉内に蓄積された脂肪は、男性、女性ともに運動機能にも影響することが示唆されたという。
なお、研究グループでは、今回の結果を受けて、高齢者においては定期的な運動が、加齢に伴って生じる筋肉量と運動機能低下を軽減し、同時に筋内脂肪の蓄積抑制も促すことが予測できるようなるため、今後、高齢者の健康増進やそれを目的とした効果的な運動処方の確立に役立つことが期待されるとコメントしている。