富士通は11月11日、ユーザー企業のデジタル革新を実現するというSoE(システム・オブ・エンゲージメント)領域向けとして、オープン・ソース・ソフトウェア(OSS)ベースの新たなデータベース・ソフトウェアである「FUJITSU Software Enterprise Postgres(フジツウ ソフトウェア エンタープライズ ポストグレス)」を国内向けに販売開始した。サブスクリプション価格はコアあたり年額21万2000円(税別)から、出荷時期は2016年11月末。
新製品は、業務システムにおいて採用が進んでいるというOSSデータベースである「PostgreSQL」をベースに、高いセキュリティや処理性能、信頼性を実現するという同社独自の技術を実装したことにより、ユーザー企業が安全かつ迅速にPostgreSQLを利用できるという。 また、期間に応じて利用料を支払うサブスクリプション・ライセンスで提供することで、初期導入コストを抑えると共に、システム規模に合わせて段階的な適用拡大が可能としている。
同製品はPostgreSQLを始め、その利用に必要という各クライアント・モジュールや運用ツールなどの周辺OSS及び49種類のcontribモジュールを一括で提供することにより、PostgreSQLの導入時に必要となる、周辺OSSごとのライフサイクルやサポートの考慮が不要になるという。 また、導入・運用やトラブル発生時における24時間365日の技術サポートを長期にわたって保証しているとのこと。
なお、同製品は、OSSのニーズが高いという海外で先行販売し21ヵ国で商談を進めているといい、今回、国内でも販売開始するもの。
同製品には、情報漏洩を防ぐ透過的データ暗号化、変化への即応を支えるインメモリ機能、高速化と安定稼働を両立する並列検索といった特長を持つとのこと。
データ暗号化に関しては、同社が独自開発・提供してきたというデータベース・ソフトウェアである「FUJITSU Software Symfoware Server」で培った透過的データ暗号化技術を実装しているという。 これにより、ユーザーが従来使用していたデータベースから同製品へ移行する際、アプリケーションを改修することなくセキュリティを強化できるとしている。 また、ユーザー・データに加えて、トランザクション・ログ(WAL:Write Ahead Logging)や一時ファイル、バックアップ・データも含めて一括した暗号化が可能という。
なお、暗号アルゴリズムには、キー長(鍵の桁数)128ビットと256ビットのAESを採用しているとのことだ。
インメモリ機能については、富士通研究所が開発したインメモリによる高速化技術を実装したという。 同機能により、データの更新処理に適した格納方式(ロー型)でデータを格納しているPostgreSQLに対し、分析に適するという格納方式(カラム型)のデータを扱うことが可能になるため、カラム型インデックスによる高速分析が可能になるとのこと。 既存の業務処理に影響を与えることなく、分析結果をビジネスへ素早く反映できるとしている。
並列検索は、データベース内の大量データを扱うバッチ処理時間などを短縮可能にするとのこと。 同機能により、検索・集計処理を複数のCPUコアに分散させて処理を実行可能であると共に、CPUの負荷状況に応じて最適な並列数を自動で決定できる独自の機能を追加したという。 これにより、CPUに余裕が無い場合にはサーバの過負荷を回避するために並列化を行わず、CPUに余裕がある場合は並列数を自動で増加できるため、CPU性能を最大限に引き出した検索処理の効率化と安定稼働の両立が可能とのこと。
同製品には「Enterprise Postgres 9.5 Standard Edition」及び「Enterprise Postgres 9.5 Advanced Edition」の2エディションがあり、サブスクリプション価格はStandard Editionがコアあたり年額21万2000円(税別)、Advanced Editionが同114万円(同)。
いずれも対応サーバOSはRed Hat Enterprise Linux 7/6及びWindows Server 2016/2012 R2/2012/2008 R2/2008。 対応クライアントOSはWindows Server 2016/2012 R2/2012/2008 R2/2008、Windows 10/8.1/7/Vista、Red Hat Enterprise Linux 7/6、Oracle Solaris 11/10。
なお同社は、2003年からPostgreSQLの開発コミュニティに参加し、開発メンバーの一員としてPostgreSQLの技術開発などを行なっている他、日本におけるPostgreSQLの普及や促進を目的とする特定非営利活動(NPO)法人である「日本PostgreSQLユーザ会」にも参画し、その活動を支えているという。