東芝は11月1日、IoTアーキテクチャ「SPINEX」の提供を開始した。今後、SPINEXをIoT事業の軸とし、4年間でインダストリアルICTソリューションを中心に社会インフラ領域、エネルギー領域、ストレージデバイス領域におけるIoT事業を展開することで、グループ全体でのIoT関連売り上げを2020年に現在の2倍となる2000億円への拡大を目指す。

「SPINEX」のイメージ

SPINEXの特徴には、現場でのリアルタイムな処理とクラウドを最適に組み合わせるエッジコンピューティングの仕組みのほか、デジタル上に現場の機器を忠実に再現し、遠隔監視で機器の状態を見守り、迅速に兆候をとらえて改善するデジタルツインを構築できることなどがある。

また、モノをつなげるだけでなく、同社のメディアインテリジェンス技術により音声や映像などの情報を解析するとともに、人の意図や状況を理解した形で活用が可能だという。これらにより、企業や社会の産業分野の機器、装置の生産性や安全性の向上、プロセスの最適化、オペレーションコストの削減など、事業領域ごとの課題解決の手段を包括的に提供し、新たな気づきを新製品へフィードバックすることや新規サービス事業の創出を実現するとしている。

加えて、SPINEXの基本構成要素をベースに産業機器の見える化・遠隔監視を実現する「IoTスタンダードパック」や次世代ものづくりソリューション「Meisterシリーズ」は、すでに産業機器向けやバーチャルパワープラントなど幅広い領域で活用されており、生産性と品質の向上、新たな価値創出に貢献しているという。

同社は、IoT事業を推進する一環として関連団体へ積極的に参画しており、3月にはエッジ・コンピューティングの注力・強化を目指し、OpenFog Consortium(2015年11月にARM、Cisco、Dell、Intel、Microsoftおよびプリンストン大学エッジラボラトリーにより設立された業界団体)に加盟。

さらに、10月にはIIC(Industrial Internet Consortium:2014年3月27日に米国で設立された産業分野におけるIoT活用のデファクトスタンダードを推進する国際的な団体)により、同社のスマートコミュニティセンターを活用したディープラーニングによる初のテストベッドが採用されるなど、これらの推進団体との協力を通じエコシステムの構築を目指す方針だ。