ネットワンシステムズは8月25日、性能を確保しつつ、オンプレミスとクラウドを安全に接続する「クラウドHUBサービス」の提供を開始すると発表した。
同サービスは、パブリッククラウドと結ぶ専用線を備えるデータセンター内に専用の設備を設けることで、マルチクラウドとの閉域網接続機能・セキュリティ機能・セキュアコロケーション機能を提供するもの。
市場開発本部 本部長の松本陽一氏は、同サービスを提供するに至った背景について、「顧客に、ハイブリッドクラウドへのシフトにおいて課題や要望をヒアリングした結果に基づくもの。ハイブリッドクラウドを構築するにあたっては、セキュリティを担保した形で新たなインフラを構築することが課題となっている。自社でハイブリッドクラウドを運用すると、セキュリティや運用が負荷となり、クラウドのスピード感を損なわれる。クラウドHUBサービスは、こうしたハイブリッドクラウド構築における課題を吸収する」と説明した。
ここのところ、企業のオンプレミスとパブリッククラウドを接続するサービスが増えているが、そうした競合に対する同社の強みは「ハイブリッドクラウドは、ネットワークのグランドデザインが必要など、課題が多いが、クラウドに適したネットワークを語れるクラウドサービス事業者は少ない。われわれはオンプレミスを対象としたネットワーク事業に注力してきたことから、高度な技術力と豊富なノウハウを有している」とした。
同サービスは、基本サービス「内部ネットワーク」、オプションサービス「HUBコネクタ」「クラウドコネクタ」「インターネットコネクタ」「セキュアコロケーション」「ネットワークファンクション」から構成される。当初は、3つの機能のうち、「マルチクラウドとの閉域網接続機能」から提供が開始される。
「マルチクラウドとの閉域網接続機能」は「内部ネットワーク」「HUBコネクタ」「クラウドコネクタ」を用いて、オンプレミス/プライベートクラウドとパブリッククラウドであるAmazon Web Services/Microsoft Azureを接続する。
市場開発本部 ソリューション・サービス企画室 シニア・マネージャーの横山哲雄氏は、同機能を利用するメリットについて「クラウドごとに回線を用意する必要がなくなるため、ゲートウェイがネットワーク遅延のボトルネックとなることを回避できる」と語った。
当初はHUBコネクタの接続は専用線のみとなるが、10月にはSD-WAN連携がオプションとして提供される。
ネットワークセキュリティの機能としては、マルウェア対策、メールセキュリティ、次世代ファイアウォールなど、インターネット接続に際して必須となるセキュリティ対策をサービス型で提供する。一連のセキュリティサービスに加え、クラウドのアクセス状況を可視化する「Cloud Access Security Broker(CASB)」機能も今年12月から提供が予定されている。
横山氏は、同サービスを利用すれば、日々更新される脅威に追われるセキュリティ対策をまとめてアウトソーシングすることで、セキュリティ対策にかかる負荷を軽減できるとともに、同社が検証・評価済みの最新のセキュリティ製品やサービスを利用できると語った。
そのほか、セキュアな環境に顧客の設備のためのコロケーションスペースを提供し、専用システムをマネージドサービスとして組み込む「セキュアコロケーションサービス」は今年10月に提供開始の予定だという。