日本など25カ国が参加する「国際深海科学掘削計画」(IODP)の一環として、スマトラ島沖地震震源域での海底掘削調査が10月初めまでの日程で始まった。今回の調査船は米国の掘削船ジョイデス・レゾリューション号で、深海底の地質試料(コア)などを採取して巨大津波発生メカニズムの解明を目指す。
IODPは2013年10月から行われている国際協力プロジェクトで、現在、日本、米国、欧州(17カ国)、中国など25カ国が参加。日本の地球深部探査船「ちきゅう」と米国のジョイデス・レゾリューション号が主力で、これに欧州の船を加えた複数の掘削船を用いて地球内部構造などの解明を目指している。
スマトラ島沖では2000年以降16年3月までに11回もマグニチュード(M)7以上の大地震が起きており、その中でも04年12月にM9.1の大地震が起き、巨大津波が発生してインド洋沿岸に至る広い地域で大きな被害が出た。IODPの日本代表研究機関である海洋研究開発機構(JAMSTEC)によると、この巨大津波は、一般に地震発生帯と考えられているプレート沈み込み帯の深部ではなく、より浅い海溝付近で発生した点が特徴で、2011年3月に東日本大震災をもたらした東北地方太平洋沖地震と類似している。しかし海溝付近でなぜ大きな断層すべりが生じるのかはよく分かっていないという。
ジョイデス・レゾリューション号はスリランカ・コロンボ港を現地時間の8月9日に出港、その後航海を続け、18日までに2004年12月に発生したスマトラ島沖地震の震源域近くに達して2カ所の海底で海底堆積物などを採取するための準備作業を開始した。今後水深4,000メートル以上の2カ所の海底で1,460~1,610メートル掘削してコアを採取する。
採取コアを分析、東日本大震災を起こした東北地方太平洋沖地震の震源域や巨大地震の震源域になるとされる南海トラフでこれまで得られた分析データと比較しながら海底堆積物が断層活動に与える影響について調べる。今回の調査には日本からの4人を含め米国、欧州、中国などから集まった研究者計31人が参加している。ジョイデス・レゾリューション号は10月6日にシンガポールの港に帰港する予定。
今回は参加していないが日本の地球深部探査船「ちきゅう」は2012年4月から5月にかけてIODP の一環として東北地方太平洋沖地震震源域に近い日本海溝付近で海底掘削調査を実施、貴重なコアを採取している。
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