TISと日本オラクルは8月9日、デジタルガレージの子会社で決済事業を手がけるベリトランスのマルチ決済システム「VeriTrans3G」を中心とした決済プラットフォームのDR(Disaster Recovery)サイト構築を支援すると発表した。

ベリトランスのDRサイトは2016年9月までの要件定義後、2017年4月までに既存のOracle Exadata Database Machine(Exadata)2台を「Oracle Exadata X6」へと刷新するほか、DRサイト用のOracle Exadata X6を同時被災の可能性の少ない別の地域で新規に構築。その後、2017年8月にデータレプリケーションソリューション「Oracle GoldenGate」を活用してデータ移行を行い、新プラットフォーム全体が稼動する。

ベリトランスの次世代決済サービス基盤

次世代決済サービス基盤にはハードウェアとソフトウェアを一体化させ、Oracle Exadata X6を活用し、TISが設計・構築およびデータ移行を、日本オラクルが製品に関する技術支援を担う予定だ。 日本政府では、大地震などの災害に対する企業防災面の対策の柱として、事業継続計画(BCP)に関するガイドラインや指針を2005年以降に発表している。

そのため、ベリトランスでは決済サービス提供事業者の責務である決済システムを止めないための施策として、2013年に「Oracle Exadata X2」を導入した。クレジット業界におけるグローバル・セキュリティ基準PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)対応の課金決済プラットフォームのリニューアルを実施している。

その後も、主要顧客層であるグローバル企業や日本の大手企業がBCP対策の強化を進めていることから、これに対応するためにExadataの最新世代であるOracle Exadata X6への既存システムの刷新とDRサイトの構築に踏み切る。また、決済業界初だという同時被災の可能性の少ない2拠点でのデータセンター完全二重化を決定している。

Oracle Exadata X6を活用する次世代決済プラットフォームでは、データの高可用性や保護および障害時リカバリを保証する機能である「Oracle Data Guard」でスタンバイ・データベースと同期を取ることでBCPを実現。さらに、EC事業者、消費者に質の高い決済サービスを提供するためサービスの無停止化を最終目標に、これまで年間で数回実施していたサービス停止を伴うメンテナンスを将来的には廃止することを目標としている。

今後、ベリトランスは海外の事業者へのサービス提供も積極展開し、EC事業者、消費者に安定・安心できる決済サービスを提供できるBCP対策を強化していくという。加えて、TISはベリトランスのミッションクリティカルなシステムを支える基盤を構築し、データ移行を行うための経験やノウハウを蓄積することで、顧客の経営課題の解決に貢献していく方針だ。