IDC Japanは7月29日、国内の公共(官公庁、自治体)/医療/教育分野における第3のプラットフォーム需要動向調査結果を発表した。国内の公共/医療/教育分野における第3のプラットフォーム(モバイル、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドの4要素で構成)への投資は、民間企業に比べるとやや低成長であるものの、東京五輪開催とインバウンド需要への対応などの影響により、堅調に拡大していくと想定。2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR: Compounded Annual Growth Rate)は、官公庁分野は8.1%、自治体分野は7.2%、医療分野は6.6%、教育分野は5.6%を予測している。
今回の調査では、2016年3月に実施したアンケート調査結果のほか、ユーザー企業への取材によるケーススタディを踏まえ、これら3分野における第3のプラットフォームの利用動向やニーズ、推進課題などを分析した。
公共部門では、東京五輪開催とインバウンド需要拡大に伴い、東京、大阪などを中心に社会インフラ関連や観光分野における第3のプラットフォーム支出が増加の見込み。一方、大都市圏以外の地域では、民間部門において第3のプラットフォーム活用が進んでいないことに加え、円高による景気後退が懸念されており、公共部門による第3のプラットフォームの積極的導入に伴う地域活性化が期待されている。
大都市圏以外の各地域において第3のプラットフォーム市場を拡大していくには、第3のプラットフォーム活用により地域内GDP成長を達成する青写真を描き、実現していくことが不可欠だという。
医療機関、教育機関においても、社会保障費削減、ヘルスケアサービスの向上、教育分野における国際競争力向上などの具体的な目標に向けて計画を作り投資対効果を高めていくことが求められている。これらの公的な目標を達成するには、第3のプラットフォームを効果的に活用する「公共版デジタルトランスフォーメーション」の持続的な実現が重要だとIDC Japanでは位置付けている。
IDC Japan ITスペンディング グループマネージャーの廣瀬弥生氏は「ITベンダーは、公的なユーザー機関と共同で公共版デジタルトランスフォーメーション実現に向けた青写真を描き、ともに経済/社会問題解決のための第3のプラットフォーム市場を切り開いていくべきである」と分析している。