最終報告会でプレゼンする学生(写真提供:武蔵大学)

一方、早い段階から企業CSRをゼミに採り入れてきたのが武蔵大学だ。山嵜哲哉学長は「確認はしていないので正確ではないが、おそらく本校が最初に企業CSRをゼミに組み入れたのではないか」と語る。企業CSRをゼミに活用する取り組みは今年で10回目となり、現在、ほかの多くの大学が武蔵大学の取り組みに注目している。

武蔵大学の場合、大きな特徴がある。それは、経済学部、人文学部、社会学部の3学部を横断したプロジェクトになっていること。「それぞれの学部が同じキャンパスにあるからこそできる取り組み」(山嵜学長)だという。

どういうことかというと、まず各学部で同じ企業を研究するが、経済・人文・社会でそれぞれ視点が異なってくる。この段階を「第1フェーズ」とする。続いて中間報告が行われ、その後、各学部がチームを組み改めて研究し直すのが「第2フェーズ」だ。それぞれ見識が異なっているので、この第2フェーズでのすり合わせが重要になってくる。

今年は日本アイ・ビー・エム、水上印刷、岡村製作所、ロート製薬がこの学部横断型プロジェクトに協力した。種村聡子 経済学部助教によると、「これまで50社以上の協力を得た。なるべく学生と接点がないB to Bの企業・事業を選択している」と、“ビジネスの視点”を養いやすいようにしている。

冊子としてまとめられたCSR報告書

注目したいのは企業とのコミュニケーションの接点が多いこと。企業側のプレゼンや事業所見学のほかに専用SNSを用意。学生からの意見や質問に答える体制となっている。日本アイ・ビー・エム マーケティング&コミュニケーション 部長 小川愛氏によると「ほぼ毎日、何かしら学生からのリクエストがあり、それに応えてきた」と、学生の熱意を感じたそうだ。

徹底しているのが「CSR報告書」という形にまでまとめあげること。企業研究やプレゼンだけではなく、文章、レイアウト、キャッチコピー、章立てといった構成なども工夫しなくてはならない。

最終報告会でプレゼンを終了した学生の一人が感想を求められると、感極まってなかなか言葉にならない様子が強く印象に残った。「昨年このゼミを見学して“私も挑戦したい”という気持ちになり、やりきった」という言葉に“達成感”がこちらにも伝わってくるようだ。