東京急行電鉄(東急)が5月から開始した新事業が、会員制サテライトシェアオフィス「NewWork」だ。ワークスペースシェアが広がる中、新たに登場したシェアオフィスの目指すところは、出社勤務と在宅勤務の中間になるような、地域のサテライトオフィスだ。サイボウズのkintoneを利用することで常駐スタッフを不要にし、安価なワークスペースの提供を実現している「NewWork」は、東京急行電鉄の社内起業家育成制度により立ち上げられたものだという。
社内起業制度を利用した「地元のオフィス」を作るためのシェアオフィス
「社内起業家育成制度が2015年4月にスタートし、以前から考えていたものを簡単な書類にまとめて昨年6月に提出したのが『NewWork』の始まりです」と語るのは、東京急行電鉄 経営企画室 企画部 イノベーション推進課 サテライトシェアオフィス事業「NewWork」担当の野﨑 大裕氏だ。肩書きからもわかるように、社内起業といってもNewWorkは別法人ではなく、経営企画室の1部門となる。
「それまで法人向けのオフィス物件営業を担当しており、都内のオフィスがパンパンであることは知っていました。企業の成長とともに人数が増えたことで手狭になっているのです。引っ越しにもコストがかかるわけですし、実際の在席率は100%に満たないのですから、シェアオフィスがあれば解決できるだろうという考えでした」と野﨑氏は企画の背景を語る。
社内起業にあたっては一次審査となる書類審査の後、二次審査としてコンサルタントのアドバイスなども受けながら半年ほどかけて事業プランの練り込みを行ったという。当初の構想段階からメインターゲットはフリーランスなどの個人ユーザーではなく法人契約と考えていた。
「出産や育児で女性が退職してしまうわけですが、そうした女性にもっと社会で活躍してもらうためには地元で働ける環境が必要だと思ったのです。ですから一般にシェアオフィスは都会に多いのですが、地方を充実させようと思いました。都心部に簡単には通えない人でも利用しやすい、地元のオフィスというニーズを狙ったのです」と野﨑氏。
現在のところ店舗は東京の自由が丘と吉祥寺、神奈川県の横浜に出店しており、さらに東京のたまプラーザ、二子玉川にも展開する予定だ。都心ではなく郊外に集中しているのは、まずは東京急行電鉄沿線からアプローチしているからだ。これは事業化決定前に行われたプレゼンでのアドバイスによるものだという。