IDC Japanは6月15日、2015年の国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場の実績を発表した。これによると、企業別の出荷額シェアで富士通がトップとなった。
IDCではITインフラストラクチャの構成要素のうち、サーバ、エンタープライズストレージシステム、データセンター向けネットワーク機器(イーサネットスイッチ)を包含した市場をエンタープライズITインフラストラクチャ市場と定義。また、エンタープライズITインフラストラクチャ市場をトラディショナルITインフラストラクチャ市場と、クラウドITインフラストラクチャ市場に細分化している。
2015年の国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場の出荷額は、前年比8.5%増の7502億5200万円となった。コンポーネント別の出荷額は、サーバが市場全体の67.6%を占める5069億6000万円、ストレージが26.4%の1977億3800万円、イーサネットスイッチが6.1%の455億5400万円。
企業別の出荷額シェアは、1位が富士通、2位がNEC、3位がHPE、次いで日立製作所、IBM、デル、シスコシステムズが続く結果となった。国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場における出荷額の7割弱をサーバが占めているため、サーバ市場においてシェアの大きいベンダーが同市場においても上位にランクインしている。
また、コンポーネント別の前年比成長率では、すべてのコンポーネントがプラス成長となり、特にイーサネットスイッチは前年比25.2%増と大幅に増加。その背景には、第1、第2のプラットフォームから、第3のプラットフォームへの移行が進む状況下において、ソーシャル/モビリティの活用やIoTへの取り組みにより、個人、企業、クラウドサービスプロバイダーなどで、ネットワークを介したデータのやりとりが加速度的に増加していることがあるという。
さらに、2015年の国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場では、トラディショナルITインフラストラクチャからクラウドITインフラストラクチャへのシフトが加速。クラウドITインフラの出荷額は前年比80.4%増の1171億3000万円となり、国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場での構成比は前年から6.2ポイント上昇し、15.6%となった。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ グループマネージャーの福冨里志氏は「国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場の参加者、つまりハードウェアベンダーにとっては、トラディショナルITインフラストラクチャ事業においてシェアを落とさず、いかにクラウドITインフラストラクチャ事業を伸ばすかが、継続的に利益を確保するうえで鍵になる」と分析している。