日本IBMは5月12日、250マイクロ秒の応答時間とうデータの高速アクセス性能を備える新しいオールフラッシュアレイ製品「IBM FlashSystem A9000」と「IBM FlashSystem A9000R」の提供を開始した。価格はいずれも個別見積もり。
冒頭、日本IBM 理事 IBMシステムズ・ハードウェア事業本部ストレージ・セールス事業部長の波多野敦氏は「われわれのストレージ戦略として他社と大きく違うところはデータをハードウェアに依存させないためにSoftware-Definedのレイヤーと、ハードウェアのデバイスを完全に分離している点だ。ストレージ仮想化の製品には『Spectrum Virtualize』、クラウドストレージの製品には『Spectrum Accelerate』のソフトウェアをそれぞれ搭載している。今回、Spectrum Accelerateがフラッシュコアと結び付き、A9000シリーズとなり、これに伴いSoftware-Definedとハードウェアの最適化が成立した」と語った。
また「今後、ストレージの技術・世界は大きく変わると考えており、IBMとしてはデータをハードウェアから解放し、SDS(Software-Defined Storage)レイヤーを独立して持つことが大きな特徴だ。また、最適なデバイスをいつでも使えるような形で適応し、今回の新製品発表は、それらのアダプトがIBMのポートフォリオにオールフラッシュへの対応が完了したことを示す」と同氏は述べた。
A9000はクラウド環境向けのスケールアウト型フラッシュストレージで構成済みの状態で出荷し、オールフラッシュ環境を実装するコストを削減。物理容量はFlash Enclosure-60で21.4TB、Flash Enclosure-150で52.8TB、Flash Enclosure-300で105.6TBとなる。
また、A9000Rは膨大な量のデータ解析などの用途に対応するスケールアップ型フラッシュストレージでグリッド・アーキテクチャを持ち、最大1.8PBまでの拡張が可能だ。物理容量はFlash Enclosure-150で105.6TB~316.8TB、Flash Enclosure-300で211.2TB~633.6TB。
両製品ともにパターン除去、重複排除、リアルタイム圧縮、プロビジョニングが連携したデータ削減機能を備えるほか、既存製品の「FlashSystem 900」「FlashSystem V900」と同様に同社が独自設計したボードにフラッシュチップとFPGAを実装し、IBM FlashCore テクノロジーにより低遅延を保つという。
日本IBM IBMシステムズ・ハードウェア事業本部ストレージ・テクニカル・セールス システムズ・エバンジェリストの佐野正和氏はデータ容量削減機能について「書き込まれたデータから特定パターンを削除し、書き込みデータに応じた重複削除、データ圧縮、未使用領域をフリースペースに格納する」と述べた。
また、重複排除の処理単位は8KBの単位で重複パターンの認識と排除を実施し、4KBづつずらす形で比較を実行し、これにより重複パターンを発見する確率を高めることが可能なほか、保管容量の削減効果が期待できると同氏は力を込めた。
最後に佐野氏は「新製品はクラウドを中心に考えている顧客、VDI環境、超高速データレイクなどの環境で効果的であり、重複削減効果に加え、リアルタイム圧縮による削減効果も期待できる」と新製品の優位性を訴えた。