光る「サービス」と「その他の製品」

製品以外の部分にも注目したい。アップルの決算書類は、製品カテゴリごとにサマライズされる。iPhone、iPad、Macの主力製品に加えて、Apple Music、iTunes Store、iCloud、Apple Payなどが含まれる「サービス」、そしてApple TV、Apple Watch、iPod、Beatsなどの販売が含まれる「その他の製品」だ。

主力製品が軒並み前年同期から大きく下落しているのに対し、サービスは20%増、その他の製品は30%の増加を記録した。ホリデーシーズンで消費が拡大する季節に当たる前期との比較では、サービスはたった1%減であり、季節変動なく成長している様子がうかがえる。

Apple Musicにいたっては、1300万人に契約者が増加したと明らかされた。2016年2月の段階で1100万人という数字を披露していたことから、2カ月で200万人増加したことが分かる。

サービスは、非常に単純に言えば、iPhoneのアクティブユーザーが増えれば増えるほど、成長を続けていくカテゴリだ。アップルによると、現在10億台のアクティブデバイスが存在しており、ユーザーの増加は、サービスカテゴリの成長を強固なものにするのだ。

またその他のデバイスでは、Apple TVやApple Watchなど、iPhoneを使っているユーザーがより便利に利用できる製品を揃えており、こちらもiPhoneの販売によるユーザー増加が、成長を後押しすることになるだろう。

分離されるiPadの狙い

最後にiPadについても触れておきたい。現在、こうしたアップルの好循環から切り離されている製品がiPadだ。iPhoneの大型化から、人々の生活において、あるいはモバイルデバイスとして競合が生じている。

つまりiPhoneが売れてもiPadが売れるようにはならない、ということだ。その結果が、長い下降トレンドを作り出し、これを乗り越えられずにきた。

そこで3月21日のイベントで、アップルは「6億台の5年以上古いPCからの乗り換え」という新たな市場を狙う戦略を披露した。これに合わせて、オリジナルの9.7インチサイズでカバー一体型のSmart Keyboardが利用できるiPad Proを投入し、いままでのiPadよりも明確に、「PCの代替」という役割での再出発をきった。

iPadはPCを代替する製品になれるだろうか

現実的に考えて、PCの代替は、ハードウェア以上にソフトウェアの問題が大きい。アップルが企業買収などによって、環境整備に着手する可能性もあるだろう。

【関連記事】
iPhone SEに託す、アップルの狙い
iPhoneの伸びが減速、Appleに何が起きているのか
実質ゼロ円スマホが復活? 携帯料金の見直し問題とは何だったのか
追い風吹けど盛り上がらず、格安スマホが抱える課題とは?