米国オラクル 製品管理担当バイスプレジデント マイク・リーマン氏

日本オラクルは2月16日、「Oracle Fusion Middleware」の主要コンポーネントであるJavaアプリケーション基盤の最新版「Oracle WebLogic Server 12c R2」を提供開始すると発表した。

米国オラクル 製品管理担当バイスプレジデントのマイク・リーマン氏は、 WebLogic Server 12c R2について、「Javaのワークロードを集約してコストを削減したいというCIOの希望にこたえるものであり、過去最大のリリース」と語った。

リーマン氏は、WebLogic Server 12c R2の主要な新機能として、「マルチテナント」「連続可用性」「Java EE 7とDevOPSへの対応」「Javaのワークロードクラウドに移行する機能」を挙げた。

WebLogic Serverでは、これまで物理および仮想サーバ単位でアプリケーションごとのWebLogic Serverドメインを設定していたが、マルチテナント・オプションにより、WebLogic Serverドメイン内にアプリケーションごとの複数テナントを割り当てることが可能になった。加えて、ドメイン単位でしか設定できなかった管理者権限をテナントごとに設定し、アプリケーション利用者の認証・認可もテナントごとに設定できるようになった。

Oracle WebLogic Serverのマルチテナントの仕組み

同社の検証では、アプリケーション実行基盤をマルチテナント化することでCPUの利用率やメモリの使用量が低減し、サーバ台数が従来の約3分の1に削減されるという結果が出ているという。「10パーティションが共有するJava VMの環境で、レスポンスタイムの劣化はなく、アプリケーションごとのCPU使用量は減少した」(リーマン氏)

リーマン氏はマルチテナントのメリットについて、「ハードウェアが集約されることで、ハードウェアにかかるコストに加えて、パッチを当てるなどの運用に要するコストも削減できる。アプリケーションごとにCPU、メモリ、I/Oがすべて分離されるため、安全性が確保される」と説明した。

マルチテナントのメリット

連続可用性は、オプション「WebLogic Server Continuous Availability」により実現する。同オプションは複数のデータセンター間で運用待機型のアクティブ・アクティブ構成やフェールオーバーに対応する。これにより、オンラインでのパッチ自動適用を実現するほか、ライブ・マイグレーション機能により、テナントを稼働させたまま他のWebLogic Serverドメインに移すことが可能で、アプリケーションのダウンタイム時間を削減する。

リーマン氏は、「データセンターを連携するには、これまで数千ステップ必要だった設定がすべて自動化されたことは注目すべき点」と語った。

「WebLogic Server Continuous Availability」のメリット

WebLogic Server 12c R2は、「Java EE 7」との完全な互換性を持ち、「REST」「JSON」「JMS」「WebSocket」などの言語仕様に対応し、「Java SE 8」の認定を受けている。さらに、「Docker」「Maven」への対応に加え、ソフトウェア開発自動化・効率化ツール「Jenkins」や「Arquillian」を使用したDevOpsの最新手法をサポートする。

「Java EE 7」に完全対応

クラウドの移行に関しては、Oracle WebLogic Serverをクラウド・サービスとして提供する「Oracle Cloud Java Cloud Service」においても、マルチテナント機能を提供する。これにより、数分でマルチテナント機能が使えるようになるという。

日本オラクル 執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長 本多充氏

続いて、日本オラクル 執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長の本多充氏が、国内の状況について説明を行った。

本多氏は「日本の企業はアプリケーション分野においてコストを削減したいと考えている。最近は、経営者から『運用コストをどうしたら下げられるか』という相談を受ける機会が増えた。また、リホスト先としてJavaが選ばれることが多いが、高可用性が求められている。リホストにあたっては、クラウドの移行を見据えたアーキテクチャが採用されている」と、日本企業の生の声を明らかにした。

また、パートナーであるNEC、NTTデータ先端技術、富士通が、WebLogic Server 12c R2の新機能であるマルチテナント、インスタンスについて検証を行っている。本多氏は、「本当に、マルチテナントによって集約が行われるのか、インスタンスの移動によって運用の効率が上がるのかについて検証が行われている」と語った。