MM総研は2月9日、2015年の国内携帯電話端末の出荷台数における調査レポートを発表した。
レポートは、NTTドコモとau(KDDI)、ソフトバンク、ワイモバイルの4キャリアが出荷したフィーチャーフォンおよびスマートフォンの出荷台数を調査したもので、SIMロックフリー(以下、SIMフリー)の端末は含まない。
調査結果によると、2015年のスマートフォン出荷台数は2758万台で前年比0.4%減とほぼ横ばいで推移し、過去最高だった2012年の3042万台出荷より、3年連続の減少となった。フィーチャーフォン出荷台数は、819万台と前年比22.6%減と大幅に落ち込んでいる。
総出荷台数に占めるスマートフォンの比率は77.1%で前年比4.7ポイント増、フィーチャーフォンは22.9%で4.7ポイント減となった。MM総研が携帯電話出荷統計を開始した2000年以降、フィーチャーフォン出荷台数が年間ベースで1000万台を下回ったのは初めてだという。
MM総研は、2015年のスマートフォンが前年同規模で推移した理由として、(1)価格を抑えた中価格~低価格のAndroidスマートフォンが人気を集めたこと、(2)買い替えサイクルの長期化が進む中でも、安定した買い替え需要があったことだと分析している。
一方でフィーチャーフォンが前年比22.6%減と大幅に減少した理由は、(1)フィーチャーフォン利用者の買い替え需要が少ないこと(買い替えサイクルが長い)、(2)スマートフォンからフィーチャーフォンに戻るユーザー層が一部MVNOサービスを選択するようになったことと分析している。
一方で「ガラホ」と呼ばれるAndroid搭載の二つ折り端末の出荷台数は81万台で、フィーチャーフォン市場内シェアの9.9%にとどまった。ガラホは、フィーチャーフォン利用者に支持されている二つ折り形状を維持したまま、スマートフォンに近い使い勝手を実現したが、シェアを大きく伸ばすには至らなかった。その原因について、端末価格や毎月の利用料金が使い方次第で高くなるデメリットにより、現状では普及が限定的であったとしている。
2015年のメーカー別のシェア1位はアップルで1473万台となり、総出荷台数に占めるシェアは41.2%だった。アップルは2012年以降4年連続1位となったが、前年比10.6%減と初めて前年を下回った。2位はソニーで496万台(13.9%)、3位はシャープで426万台(11.9%)、4位は京セラで383万台(10.7%)。
スマートフォン出荷台数に占めるOS別のシェアは、iOSが53.4%で過半数を維持するも前年比6.1ポイント減となった。iOS端末の台数・シェアが減少する一方で、Androidスマートフォンが1285万台の15.0%増となった。スマートフォン市場におけるAndroidのシェアは46.6%(6.3ポイント増)でiOSとの差を縮める結果となった。
2015年度(16年3月期)の総出荷台数は、3,650万台(前年度比3.6%減)。うちスマートフォン出荷台数は2,860万台(4.1%増)、フィーチャーフォンは790万台(24.0%減)と予測。スマートフォン出荷台数比率78.4%(前年度比5.9ポイント増)、フィーチャーフォン出荷台数比率21.6%(5.9ポイント減)となり、例年と同様にスマートフォン比率が増加する見通し。
2016年度以降は「携帯料金タスクフォース」の影響などによるキャリアの販売施策の変化から、端末出荷台数は減少が避けられない状況である。特に他キャリアからの乗り換え購入時において、端末価格の優遇が著しいiPhoneの台数・シェアが減少すると予測されている。
2015年9月末のスマートフォンとフィーチャーフォンを合わせた携帯電話端末契約数は1億2723万件となり、既に人口普及率100%を突破したと分析している。スマートフォン契約数は7237万件(構成比56.9%)、フィーチャーフォン契約数は5486万件(43.1%)となり、スマートフォン契約数および比率は増加し続けているが、60%には達していない。
プラットフォームのサポート終了や部材調達が困難になることから、2017年以降はフィーチャーフォン市場におけるAndroid端末の普及が本格化する見通し。従来型フィーチャーフォンを利用している5000万以上のユーザーの受け皿としては価格面での訴求が重要となるため、Androidフィーチャーフォンの価格およびサービスには検討の余地があると分析している。
従来型フィーチャーフォンと同等の価格でスマートフォンが利用できるMVNOサービスについては、選択するユーザーが増えることも想定され、従来型フィーチャーフォン利用者の今後の買い替え動向が注目されるとしている。