VAIO Phone Biz。VAIO Z Canvas同様のアルミ素材で高級感がある

VAIOは2月4日、東京都内で記者会見を開き、同社初となるWindows 10 Mobile搭載端末「VAIO Phone Biz」を発表した。製品投入時期は4月を予定しており、ビジネス需要を主なターゲットとする。一方で個人が購入可能な小売店での販売ルートを用意し、小売価格は5万円台を目指しているという。

VAIO Phone Bizはスマートフォンのカテゴリーに属する製品だが、ソニーからPCメーカーとして分社したVAIOがなぜこのタイミングで同市場に参入するのか。VAIO代表取締役の大田義実氏は「過去20年近くにわたってWindowsとともに歩み続けてきたVAIOが、PCメーカーとしてビジネスユーザーの生産性や創造性を高めることが可能な提案ができるのではないだろうか」とその理由を説明する。

PC事業以外の柱を

長野県の安曇野を拠点にPCの製造拠点を構えるVAIOだが、従来のPC製造で培った技術だけでなく、ペットロボットのAIBO製造で培った技術も含め、PC以外の領域へ進出を進めている段階だという。そうした成果の数々がコミュニケーションロボットの「Palmi」やスマートバンドの「Moff Band」などで、これらに対して製造開発支援を行っている。

特に最近は「モノづくり」をキーワードにハードウェア系のスタートアップ企業が国内にも増えているが、マクニカの提供するスタートアップ支援プログラムにも参画しており、前述のPC以外の新規分野開拓を進めている。そのPCに次ぐVAIOの柱としてスタートしたのが「VAIO Phone Biz」のプロジェクトというわけだ。

過去にPCや関連事業で培った技術を基に、PCと新規領域にビジネスを広げるのが目標

コミュニケーションロボットの「Palmi」やスマートバンドの「Moff Band」、マクニカの「モノづくり」スタートアップ支援プログラムへの参画など、VAIOの技術や蓄積が活かされている

問題は、なぜあえてこのタイミングでのスマートフォン参入で、それがWindows 10 Mobile搭載端末なのかという点だ。

同氏は「ビジネス需要が見込めることが大きかった」と説明している。Windowsはスマートフォン向けのプラットフォームとしてのシェアは世界的にもAndroidやiOSに大きく溝を空けられており、国内ではWindows Phone 8時代の空白を経て"ゼロ"の時代を過ごしてきた。一般ユーザーへの認知や需要という面では厳しいものの、Microsoftがスマートフォンへの国内再参入を宣言した際は「ビジネス面での引き合いが多く、潜在需要は高いと見ている」と米MicrosoftでOEMを担当するNick Parker氏がコメントしている。

Windows 10 Mobileの時代になって、PCメーカーのVAIOならではのスマートフォン提案を行いたいと開発したのがVAIO Phone Bizとなる