IDC Japanは12月7日、「2015年 国内Software-Defined Storageの需要動向分析」を発表した。同調査は国内Software-Defined Storage(SDS、ソフトウェア定義型ストレージ)市場の需要動向をユーザー調査に基づいて分析しており、SDSに対する認知度、将来の利用意向、選択の条件、期待するメリット、価格感度などの設問を通して今後の需要を予測するとともに、市場開拓に必要な留意点についての分析を行った。
同社ではSDSを「容易に入手可能な(カスタマイズされていない)コンポーネントによって構成されたコモディティハードウェアを前提とし、その上に搭載されたソフトウェアスタックによってストレージ機能のフルセットを提供するプラットフォーム」であると定義している。
ユーザー調査の結果、SDSの認知度はまだ十分に高いとは言えないが、前回(2014年)の調査から約1年が経過し、国内企業ユーザーにおける認知は徐々に向上していることが判明したという。企業規模別には、従業員規模が1万人を超えると認知傾向が大きく向上することも明らかになっているとしている。
利用意向については、SDSの中でも「コモディティサーバを多数並べて、ソフトウェアでスケールアウト型に構成するアーキテクチャ」に対する評価や採用の見込みを聞いた結果、同アーキテクチャの利用について前向きなユーザーが全般的に多いことが分かったという。また、SDSの評価や検討が進み、導入するか否かの姿勢をはっきりさせるユーザーが増えた様子が確認できたとしている。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの鈴木康介氏は「SDSに対するエンタープライズユーザーの認知は向上しつつあるが、まだ十分な理解が広まったと言える状況には達していない。また、市場でも有力なエコシステムを形成しそうな求心力を発揮している製品が登場してはおらず、各社は有利なポジションを占めるための競争を繰り広げている。しかし今後は、ビッグデータ分析をサポートする大容量ストレージとして、さらにはビジネスの迅速化を図るためのインフラ自動運用のコア技術として、SDSの重要性が増していくことは確実であり、ストレージ市場の中で主要な製品セグメントの一つとなっていくであろう」と分析している。