IDC Japanは10月22日、国内ウェアラブルソリューション市場の調査結果を発表した。同社では、Commercial向け(一般企業や官公庁向け)に出荷される「ウェアラブルデバイス市場」と、それに付随するソフトウェアやサービスなどといった「ウェアラブルイネーブルメント市場」を合算したものを「ウェアラブルソリューション市場」と定義している。
ウェアラブルデバイスの国内出荷台数は2014年から2019年に向けて約4倍程度に増加すると見込まれる。そのうちCommercial向けデバイスの割合は、2014年時点では1%未満であったものが2019年には6%以上に達するという。これはCommercial向けの中でも特に工場や倉庫といったインダストリー環境で利用されるウェアラブルデバイスが急増することに起因している。
Commercial向けウェアラブルデバイスの出荷台数をその形状別に分類した場合、2019年における出荷台数の約7割はアイウェア型(眼鏡型)デバイスが占めることになるという。背景には、他の形状のデバイスと比較してハンズフリー性能が高く、工場内の点検作業や物流倉庫内のピッキング作業を効率化する用途を中心として需要が拡大するとみているようだ。また、医療や教育といった産業分野でも、映像をリアルタイムに共有するニーズの拡大が影響するという。
ウェアラブルソリューション市場では、スマートフォンやIoTデバイスなどを複合的に利用するようなケースが増加。これにともない、さまざまデバイスから発信されるデータを統合的に管理/分析する機能が求められるようになる。加えてConsumer向けデバイスが収集したデータをB2B用途で活用するようなケースが増える。
同社 コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣 悠太氏は、「ウェアラブルソリューション事業者は企業ユーザーに提供するウェアラブルソリューション単体にフォーカスするのではなく、企業が既に利用しているシステムやソリューションに対して、ウェアラブルソリューションを最適に融合させていくような取組みが必須になり、また、各産業分野に対する理解を深め、具体的なユースケースをイメージしやすい提案を行うことで、企業に対してROIを見えやすくする取組みが重要になる」と述べている。