グーグルは10月7日、Android 6.0(コードネーム:Marshmallow、マシュマロ)や先日米国で発表されたNexusシリーズの新端末「Nexus 6P」「Nexus 5X」の記者説明会を開催した。

Nexus 6Pは5.7インチで解像度がWQHD(2560×1440)のAMOLEDディスプレイを搭載。カメラは1230万画素にとどめて、1ピクセルあたりのサイズを1.55μmにすることで、暗い場所でも明るい写真が撮影できるようにした。動画は4K動画が撮影できるほか、240fpsのスローモーション フルHD動画も撮影できる。

Nexus 6P

一方のNexus 5Xは5.2インチのフルHD(1920×1080)の液晶ディスプレイを搭載。こちらもカメラは同様に1230万画素のものを採用している。4K動画は撮影可能だが、スローモーション撮影は120fpsまでとなる。

Nexus 5X

どちらの端末も背面に指紋センサーを搭載しており、セキュリティロック解除などに利用できる。また、充電やデータ転送などに使用するUSBポートはUSB Type-Cを新たに採用しており、充電速度、データ転送速度の向上や表側/裏側を意識せずにケーブルを接続できるメリットがある。

Android 6.0のメリットは?

今月から日本でも販売される両端末は、リリースされたばかりの最新Android OSであるAndroid 6.0を搭載している。Androidがメジャーアップデートされるたびに話題となるコードネームは、アルファベット順にお菓子の名前が付けられている。4.1はJelly Bean、4.4は日本でも有名なKitKatといった具合だ。

Android 6.0 Marshmallow

6.0のコードネームは「Marshmallow」だが、米Googleでエンジニアリング担当副社長を務め、Android責任者のヒロシ・ロックハイマー氏によると「MはMochiにしたかった」とのこと。残念ながら、日本由来のコードネームとはならなかった最新OSは着実な進化を遂げている。

グーグル 製品開発本部長の徳生裕人氏

「大幅なアップデートではないが、原点に立ち返り、細かい点を着実にブラッシュアップした」(グーグル 製品開発本部長の徳生裕人氏)

例えば、OSの電源管理機能を見なおした「Dozeモード」では、端末操作していない時間が長く続くと、自動的にバックグラウンド処理の動作間隔をあけてスリープ状態になる。これにより、Nexus 5/6環境でのテストでは、電池持ちが約30%改善されたという。

セキュリティ関連の強化目立つ

エンタープライズ環境下で気になるセキュリティ機能では、アプリの権限管理の厳格化と、Nexus 6P/5Xの説明でも触れた指紋認証のOSサポート、セキュアブートが追加された。

アプリの権限管理の厳格化では、これまでインストール時に「A、B、C、D、Eの権限を要求しています」と、アプリがOSのAPIにアクセスする事実をユーザーに見せるだけだったのに対し、今後は該当機能にアクセスする際に許可が必要になる。

この仕組みはiPhoneですでに実装されており、iPhoneユーザーにはわかりやすいだろう。ユーザー自身でアクセスを許可しない限り、アプリが電話発信や電話帳、写真撮影、アルバムなどの機能に他アプリがアクセスできないため、「正規アプリを装った偽の写真閲覧アプリなどがバックグラウンドで電話帳にアクセスする」といった問題が防げる。

ユーザーも、これまではインストール時の権限確認だけでは"流し見"で許可していただろうが、今後は「このアプリがこの権限を使用するのはおかしい」と気付きやすくなる。

指紋認証は、個人がその場にいなければ認証することができないため、有望なセキュリティ対策の1つだ。もちろん、寝ている間にその場にいる他人が自分の指を使ってロックを解除するといったことも可能だが、それは個人の問題であって、端末が盗難された場合に犯人がロックを解除してしまう可能性を考えると、セキュリティレベルは格段に高い。

また、セキュアブートでは、ファームウェアとAndroid OSが工場出荷時のバージョンから変更された際に、端末の起動時に警告が表示される。これは、ファームウェアなどを書き換えるマルウェア対策として有効だろう。

Now On Tapは年内提供へ

ユーザビリティの向上を目的したアップデートでは「Now On Tap」や音声対話機能、USB Type-Cがある。USB Type-CのOSによるサポートによって、一部ベンダーに限られていたUSB 3.0への対応が広がるとみられる。

「Now On Tap」は、さまざまなアプリを操作する中で、急に思いついた「知りたい情報に対して簡単にアクセスできる、お手伝いの機能」(徳生氏)だ。米国では今週から提供が始まっているが、日本でも年内に提供される予定となる。会場ではデモンストレーションが行われ、LINEトーク画面からワンタップで検索画面に遷移したり、お店検索で食べログアプリへジャンプ、会話内の予定の打ち合わせの文脈からタスク設定が可能となっていた。

また、音声対話機能では、OSのAPIを利用して音声対話の機能をアプリに簡単に追加できるようになる。

Android 6.0 MarshmallowはNexus端末に配布が始まったばかりで、国内で販売されている端末の主要メーカーのアップデート、新端末が登場するのは、来春以降となるだろう。エンタープライズ用途でこそ、頻繁なOSのアップデートはネックとなるが、セキュリティの高度化はAndroid端末導入のひと押しとなるだろう。

ほかに、Google Photosのアップデートが発表された。日本では導入が遅れていたアップロードした写真の顔認識機能が年内をめどに提供されるほか、家族で一緒にアルバムを作成できる新機能も提供される予定だという