日立製作所は9月16日、風力発電設備や鉱山機械といった現場で稼働しているインフラ製品の稼働状態や動作環境の計測データをもとに、量産機や次期開発機の信頼性向上を実現するアナリティクス基盤を開発したと発表した。
同基盤を用いて製品の故障に対する安全裕度や余寿命を分析し、分析結果を量産機や次期開発機の製品設計に反映することで、さまざまな環境において、安定して稼働する高信頼なインフラ製品の開発が実現できる。
また、高精度な分析を自動的に行えるため、従来よりも多くのエンジニアが分析業務を行うことができ、分析結果を速やかに製品設計に反映することを可能にする。
今回、設計時にエンジニアが使用する数式やシミュレーションを活用した高度データ分析技術を開発。現場で稼働しているインフラ製品から計測したデータを、高度データ分析技術をソフトウェアにした高度分析ライブラリと過去に収集された計測データや分析結果が詰まったデータベースにアクセスして分析を行い、未計測のデータを推定し、安全裕度や余寿命を評価する。
ベイズ統計を用いて、シミュレーションで得た値と実際に計測した値との誤差を明らかにし、その誤差とシミュレーションの計算結果を合算することで、未計測データの推定値を自動的に導き出す。
ユーザーはWebブラウザをインタフェースとして利用できるため、新たなデータ分析用アプリケーションをインストールする必要はない。クラウド上で24時間稼働しているため、Webブラウザを介していつでも利用でき、分析技術および分析結果の共有が可能。
開発したアナリティクス基盤の有効性を検証するため、実稼働する風力発電設備から計測データを収集・分析した結果、2カ所に設置したセンサーで計測したデータから約30カ所の安全裕度や余寿命を評価することができ、分析結果を量産機や次期開発機の設計に反映することができる見通しを得たという。