ファイルメーカーが5月に発表した定番のデータベースソフト「FileMaker」のメジャーアップデート版「FileMaker 14」。その新機能をユーザーにわかりやすく紹介するセミナーが、7月に東京・銀座のアップルストア銀座で行われた。
FileMakerは、初めて開発・販売されてから2015年で30周年を迎え、これまで2000万本を超える製品出荷とアプリ版のダウンロード数が150万本を突破した実績を持つ。
新バージョンでは、アプリ版とソフトウェア版、Webブラウザ版のインタフェースを一貫性のある統一したものに変更。新たなデザインツールやスクリプト、スクリプトワークスペースなどを用意し、使い勝手の向上とシンプルな操作性を実現している。
セミナーでは、実際にアプリ版やソフトウェア版、Webブラウザ版などのデモンストレーションを行い、以前のシリーズよりもわかりやすくなった機能をファイルメーカー担当者が紹介した。
ファイルメーカーのソリューションは、大規模事業者だけでなく、中小企業でも使いやすいビジネスニーズに合わせた構築ができるため、あまり技術に明るくない初心者でも、既存のテンプレート操作などで欲しい機能を構築できる要素もある。
わからない機能などがあっても、ファイルメーカーのパートナー企業である「FileMaker Business Alliance」が全国に150社以上存在するため、関連ツールや他のデータベースシステムとの連携など、訪ねやすいのも大きな魅力だろう。また、オンラインコミュニティも1万3000名以上が参加しており、自分で勉強したいという人にとってのサポート環境も整っていると締めくくった。
パートナー企業代表が選ぶFM14の新機能とは
その後行われたパネルディスカッションでは、先ほどのパートナー企業「FileMaker Business Alliance」である寿商会 代表取締役社長の若林 孝氏、U-NEXUSの取締役 CMO 横田 志幸氏らが登壇し、「FileMaker 14」の注目する新機能を取り上げた。
2氏が挙げた機能は「画面方向の設定」と「ナビゲーションパート」「起動センター」の3点。
画面方向の設定と言われると「え? 別に自由に方向変えられた方が良くない?」と思われるかもしれない。しかし、アプリ開発、システム開発者側からすると、「セルが見にくくなる」などの問題が生じる。
特にデータベース閲覧・記録という性質を持つファイルメーカー上のシステムでは、横指定、縦指定をしないと、意図しない方向でセルが中途半端に横に切れてしまうというデメリットが存在する。そこでこの新機能が生きてくるわけだ。
続くナビゲーションパートでは、特定のバーメニューなどを上下に固定表示できる。スマートフォン向けWebサイトで「広告が下にずっとくっついてきて面倒」といった感想を持ったことがあるだろうが、それと同じように常にナビゲーションパート指定したパーツが表示されるようになる。
例えば縦長のデータベースで、B行のセルの項目が何を指しているのかわからないといったケースで、こうした指定パートの固定が行われていれば、その項目が何を指しているのかが一目で分かる仕組みだ。
最後の起動センターでは、過去に起動した機能などが簡単に初期の起動画面から簡単にアクセスできる。多くのタスク管理、データベース管理を行っていると、ファイル一覧から特定のファイルにアクセスするのが面倒だが、この起動センターではアイコンがカラフルにわかりやすく表示されるため、ひと目で簡単にわかる。
この3つがトップ3のベスト新機能として紹介されたわけだが、若林氏と横田氏は、最後の余った時間を使い、「署名キャプチャ機能の強化」や「プレースホルダテキスト」といった、一見地味な機能でも"かゆいところに手が届く"機能をレコメンドしていた。