運用管理負荷を大幅に軽減する「ETERNUS DX S3 series+VVOL」

戦略的ICTインフラでもっとも“要”となるのは、アーキテクチャの選択(採用)である。ここでは、ストレージとネットワークのアーキテクチャの見直しについて言及した。実際、2014年に富士通が行った「仮想化環境におけるストレージ管理の課題」に関するアンケートでもっとも多かったのは、「ストレージ性能の監視が困難」、次いで「ストレージ専任管理者が不在」だった。

なぜ仮想化環境のストレージ管理が困難なのか。上田氏は、「仮想マシン単位のボリューム設定が煩雑なため」と説明する。ほとんどの仮想環境では複数の仮想マシンを同一ボリュームに格納し、ボリューム単位で運用している。しかし、仮想マシンごとにバックアップ運用や性能の要件が異なるため、その管理が大きな負担になっているケースが多い。

こうした課題を解決するのが、「ETERNUS DX S3 series」/「ETERNUS SF Storage Cruiser 16」および「VMware vSphere 6.0」に搭載されたストレージ拡張機能「vSphere Virtual Volumes(以下、VVOL)」だ。これら製品/機能を組み合わせることで、複数の仮想マシンを格納したボリューム単位での管理から、仮想マシン単位での管理が可能となる。例えば、ファイルシステムやボリューム単位でしか行えなかったバックアップや性能リソース配分などの運用ポリシーが、仮想マシン単位で詳細に設定できるのである。

市場の期待感がかなり高いDX+VVOL。今回の目玉といっていいだろう

また、上田氏は管理者の運用負担を軽減するクラウドライクなアーキテクチャを具現化したソリューションの一例として、垂直統合型商品の「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX for Cloud」を挙げた。同製品は、仮想化・プライベートクラウド環境向けのインフラ基盤として、その設計・構築・運用に必要なサーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化環境、管理・監視ソフトウェア、構築サービスなどの要素をパッケージ化して提供する垂直統合型商品である。

上田氏は、「システム管理者の運用負荷を軽減する様々な機能があらかじめ製品に組み込まれおり、導入後すぐにプライベートクラウドを運用できる。例えば、先に紹介したような、仮想サーバの申請/自動配備に必要な標準的な運用プロセスも備わっている」と説明する。実際、部門サーバをPRIMEFLEX for Cloud(旧製品名Cloud Ready Blocks)上に統合した奈良県立医科大学附属病院では、新規業務に必要な3台の仮想サーバの構築を、わずか1~2時間で完了したという。

なお、PRIMEFLEXシリーズには、データベース基盤の「PRIMEFLEX for HA Database」、データウェアハウス基盤の「PRIMEFLEX for Analytics」、超高速データベース基盤の「PRIMEFLEX for Oracle Database」も用意されている。今後、随時ラインナップの拡大も計画されている。

PRIMEFLEXシリーズのラインナップ

さまざまな意見が繰り広げられたワークショップ「ハイブリッドクラウド導入のポイント」

5月15日に開催されたワークショップ「ICT最適化の実現に向けた理想的なハイブリッドクラウドとは」では、クラウドインフラ関連のスペシャリストがパネラーとして登壇。現在のオンプレミス(プライベートクラウド)環境を、オンプレミスとパブリックを連携するハイブリットクラウドへ展開していくには何に留意すべきなのか。ハイブリッドクラウドへの期待や導入の課題について解説した。参加したハイブリッドクラウド導入を検討中の聴衆からは、オンプレミス、パブリックの使い分けやセキュリティへの対応など、検討課題となっている具体的な項目について質問や意見が寄せられ、白熱した議論が交わされた。

さまざまな質問、意見が交わされたワークショップ

パネラーからは、パブリッククラウドを提供する各社のサービスの違いについて指摘が上がった。あるパネラーは、「各社のサービス内容はかなり異なる。個々のサービス内容と条件を理解してから導入しないと、自社の要件によっては運用負荷やコストが膨らむ可能性がある。場合によっては、プライベートクラウドのほうが有効なことも少なくない」と言及した。また移行の際の代表的な留意点として、「ソフトウェアのライセンス」が上がり、「オンプレミスとは課金体系や利用する条件の違いがある。これらは、ベンダーや製品ごとで異なるので注意が必要だ」と訴えた。

さらに、プライベートとパブリックの使い分けのポイントは、業務仕分けとサービスレベル(可用性/稼動時間/運用性/セキュリティなど)を整理することが肝要であるとのアドバイスが上がった。富士通の前多 克英氏は、「こうした課題に対しわれわれは、豊富な実績と経験で培ったノウハウを基に、業務とサービスレベルに応じた柔軟なメニューを用意している。お客様の要望に応じて最適な提案ができると確信しているので、ぜひ相談いただきたい」と語り、ワークショップを締めくくった。