デルは、昨年2014年2月に東京田町にある東日本支社に開設した「デルGPUソリューションラボ」の機能を拡大し、「Dell PowerEdgeサーバ」ならびにWyseシンクライアントとワークステーションブランドである「Dell Precision」のラック型ワークステーションのほか、2015年3月にリリースされた、VMware社のvGPU環境の常設を開始した。
この施設は、GPUを利用した製造業、CG・ゲーム、製薬・医療、研究機関のグラフィックス処理、ならびにシュミレーションの低コスト/高性能化に向けた検証施設。
同ラボには、検証・デモ用サーバ6機が設置されているほか、貸し出し用のサーバ25セットも備え、ユーザーはアプリケーションや利用形態に応じた検証やデモを無償で行うことができる。貸し出し用サーバは環境に合わせ、デル側でセットアップしたのち貸し出されるため、到着後、ユーザーはすぐに利用できるという。また、インターネットVPNを利用したリモート接続による検証も可能になっている。
昨年のラボ開設以来、すでに145のデモと86の検証が行われたという。また、この施設は、パートナーが顧客とともに訪れ、デモを見られるプリセールスとしての役割も持っている。
同様の施設は、米国テキサス州にある米Dell本社にも、昨年3月より「Dell Workstation Virtualization Center of Excellence」という名称で設置されている。
今回、同社は設備の拡張を行い、従来からある「Dell PowerEdge R730」や「Dell PowerEdge C8000」などの環境に加え、Cloud GamingやグラフィクスDaaSへの適用も視野に入れた高密度GPUサーバ 「Dell PowerEdge C4130」やワークステーション「Dell Precision Rack 7910」の環境も整備している。
「デルGPUソリューションラボ」置済み検証機器
Dell PowerEdge R730 + NVIDIA Tesla K10/K20/K40/K80
Dell PowerEdge C4130 + NVIDIA Tesla K40/K80(新設)
Dell PowerEdge R730 + NVIDIA Grid K1/K2 + VMware vGPU
Dell PowerEdge R730 + NVIDIA Grid K1/K2 + Citrix vGPU
Dell PowerEdge VRTX + GRID K2 + VMware vGPU
Dell PowerEdge C8000 + NVIDIA Grid K2 + Citrix vGPU
Dell PowerEdge C4130 + NVIDIA Grid K2 + Citrix vGPU(新設)
Dell Precision Rack 7910 + NVIDIA Quadro + Tera2(新設)
Dell Precision Rack 7910 + NVIDIA GRID K2 + Citrix vGPU(新設)
デル エンタープライズ・ソリューション統括本部 エンタープライズビジネス開発部 ビジネスデベロップメントマネージャ 田上英昭氏は、最近のGPU利用環境の変化について、「東京オリンピックに向け、新しいメディア、サービスの開発が進んでいる。デスクトップの仮想化市場も活況で、GPU仮想化というグラフィックスを遠隔で利用するニーズが増えている」と語る。
GPU仮想化とは、従来は難しかったグラフィックワークステーションを仮想化する技術で、仕事の場所を選ばないというワークスタイルの変革や、外部への情報漏えいを防ぐというセキュリティ面、システム管理者のメンテナンスの手間が軽減されるといった管理面で注目されているという。
また、建築業で1つの図面を複数の協力会社の事務所で共有して利用できるDaaSサービスとして利用する事例や、CAEワークステーションの事例もあるという。
田上氏は、この分野におけるデルの優位性について、「サーバとワークステーションの両方を扱っている数少ないベンダーで、クロスオーダーでやっていけるのが強み」と強調。
今後の強化ポイントについては、「これまでは製造業やCAEが多かったが、今後はCGデザインやゲーム系、建築系を伸ばしていきたい」と述べた。