シマンテックは5月21日、セキュリティ事業の戦略発表会を開催した。同社は昨年10月、セキュリティ事業と情報管理事業を分社化することを発表しており、今回発表された戦略は、分社後を見据えたものとなる。
米シマンテック エグゼクティブ・バイス・プレジデント ワールドワイドセールス エイドリアン・ジョーンズ氏からは、分社に伴うビジネス展開、分社後のセキュリティ事業の戦略について説明がなされた。
ジョーンズ氏は、分社について、「もともと、シマンテックはセキュリティ企業であり、巧妙化するリスクに対応していくため、原点に立ち返ることにした。データ管理分野においても、ストレージは成長が望める分野であり、ベリタスの原点を考えても、分社化したほうが有意義と判断した」と語った。
またジョーンズ氏は、「現在、サーバもモバイルデバイスもできることが変わらず、守るべきデータは増えるばかり。そうしたなか、データを分析することが重要になる」と、セキュリティ事業の新たな戦略「ユニファイドセキュリティ戦略」においては「分析」が重視されていることを強調した。
「われわれは民間最大のインテリジェンスネットワークを抱えている。世界のセキュリティの脅威を監視・分析しているセキュリティオペレーションセンターでは、400人のスタッフが働いている。ここで得られるデータを分析して、その結果を顧客の保護に生かしていく」(ジョーンズ氏)
日本におけるセキュリティ事業戦略については、シマンテック 代表取締役の関屋剛氏が説明を行った。
関屋氏は、2015年に懸念されるセキュリティ上のリスクとして「攻撃が複数の手法を組み合わせて行われるため、企業は防ぐことができないこと」「マルウェアは増加するとともに、進化していること」「ゼロデイ脆弱性を突いた攻撃は知ることが難しいこと」「狙われるデータは価値に応じて変わること」を挙げ、「ユニファイドセキュリティ戦略」はそれに対応するものとなっているとした。
「ユニファイドセキュリティ戦略」は、4つの懸念事項に対処すべく、「Cyber Security Services」「Threat Protection」「Information Protection」「Unified Security Analytics Platform」という4つのカテゴリーに分けられている。
「Unified Security Analytics Platform」を実現する製品としては、リスク分析とベンチマークを行うアプリケーション「Symgage」がリリースされる。クラウドベースで分析を行う同製品により、自社の感染状況に加え、他社の感染状況もわかるため、他社に比べて、自社の対応が遅れていることなどを把握できるという。
「Symgage」のSDKはパートナーに提供される予定であり、これを活用して、パートナーは独自のアプリケーションを開発することが可能になる。
「Threat Protection」では、クラウドベースのエンジンなどにより高度な脅威から防御するとともに、さまざまな脅威からサーバを保護する。
「Information Protection」では、「クラウドとモバイルにまたがる情報保護と行動分析」に重きを置き、製品としては「Cloud Security Broker」を提供する。
「Cyber Security Services」では、「自社への脅威/キャンペーンの監視」「セキュリティイベントやトレンドの分析」「緊急時の対応」「セキュリティ人材の育成・評価」といったサービスを提供する。