NTTデータは5月18日、米DigitalGlobe社の衛星画像を活用した、2m解像度の高精細版3D地図の提供を開始すると発表した。

同社はこれまでリモート・センシング技術センター(RESTEC)と2014年2月から、宇宙航空研究開発機構(以下:JAXA)と連携して、JAXAの陸域観測技術衛星「だいち(ALOS:エイロス)」によって撮影された約300万枚の衛星画像を用いた5m解像度の数値標高モデル(DEM)の「全世界デジタル3D地図提供サービス」を、1平方キロメートルあたり300-500円程度で提供してきた。すでに2015年3月末現在で全世界の約6割のエリアへをカバーし、来月には75%まで対応エリアを拡大する。

衛星写真を利用した「全世界デジタル3D地図提供サービス」は、従来の航空写真を用いた手法と比べ、1/10のコスト、かつ最短1週間の短納期で精細な3D地図データが入手でき、既存の30m~90m解像度の世界3D地図から大幅に精度が向上したことから、特にアジアやアフリカをはじめとする新興国において、地図整備、防災対策、電力分野の発電計画、資源分野の鉱区探査、衛生分野における疫病の感染拡大の対策など、すでに世界34カ国、18の分野へ利用が広がり、需要が高まっているという。

既存の30m~90m解像度の世界3D地図(左)と5m解像度のデジタル3D地図(右)

一方、都市部における都市計画や施設管理等の分野においては、これまでの5m解像度以上の高精細な地図データが必要とされることから、今回新たに2m解像度の高精細版の提供を開始することにした。

2m解像度高精細版3D地図(左が東京、右がエベレスト)

2mの解像度高精細版3D地図は、米DigitalGlobe社の衛星画像を活用したもので、従来の5m解像度では再現が難しかった、「建築物」レベルの細かな起伏を表現することが可能だという。

米DigitalGlobe社の衛星画像

3D地図(左から90m精度、5m精度、2m精度)

さらに数週間から1カ月前という、直近に撮影された衛星画像から、高精細かつ鮮度の高い3D地図の提供が可能となるため、地形と比べ変化の著しい、都市など特定エリアの都市計画分野や施設管理分野での詳細な3D地図の活用や、大規模災害等で発生した地形変化を反映したかたちでの3D地図データの更新が可能となる。3D地図は任意のエリア(最低25平方キロメートル~)に対し提供を行い、価格は1平方キロメートルあたり、11,000円~。発注から2-3週間で納品可能だという。

2mの解像度高精細版3D地図の利用用途

通信分野での利用例

今回NTTデータは、2m解像度高精細版3D地図提供開始にともない、3D地図製品ブランドとして「AW3D」を立上げ、"さらに使える3D地図"として全世界への提供を進めていくという。

また、3D地図データを実際の立体模型として利用したいという、精密造形や各種設計、防災分野等におけるニーズに応えるため、3Dプリンタに利用可能な地図データについても提供を行う。データは3Dプリンタが直接読み込むことが可能なSTL(Standard Triangulated Language)ファイルフォーマットで3D地図データを提供。価格は3D地図の費用に加えて1ファイルあたり、50,000円~。

3Dプリンタ用データ(左)と3Dプリンタ用データを使って作成した富士山

両社では今回の追加サービスによって、世界各国における、さまざま需要に対応していくと同時に、新ブランドを展開していくことで、2015年度中に累計15億円の売り上げを目指す。