NTTは2月17日、光のパターンを投影することで、止まった画像にリアルな動きの印象を与えることが可能な光投影技術「変幻灯」を開発したと発表した。
今回、NTTコミュニケーション科学基礎研究所は、人間の感覚情報処理の研究に基づき、人間が自然な動きを知覚する際に働く視覚メカニズムの科学的知見を応用して、印刷物などの止まった対象にさまざまな動きの印象を与えることができる同技術を開発した。
同技術は、炎のゆらめきや、風の印象、人物が生きているような動きなどを絵画や写真に加えることができ、止まっているはずのものが動いて見えるという、視覚体験を生み出す。同技術は動画によって確認することができる。
普通の映像を見る時、脳は映像中の色、形、動きを個別に処理し、後でそれらを統合して1つの世界を見ているという。これに対し、変幻灯を体験する時は、色や形は止まった対象から取得され、動きは投影されたモノクロの映像から取得される。色や形は止まっているので、動きと空間的に「ずれ」が生じるが、つじつまが合ったようにものを見ようとする脳は動き、色、形を統合する際に、その「ずれ」を補正する。そのため、変幻灯を体験する際、動き、形、色のずれに気づかずに、あたかも止まった対象の色や形が動いているように感じるという。