「IT管理者自身の価値を高めるための製品を提供する」──そんなミッションを掲げて急成長を続けている企業がある。ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、仮想化などの統合管理ソフトウェアを展開するSolarWindsだ。ウォルマート・ストアーズでネットワークエンジニアを務めていた創業者が1999年に設立し、2009年にニューヨーク証券取引所に上場。設立から約15年、いまでは対前年比で25~35%超という驚異的な成長率を誇る。現在、ユーザー数は15万社以上におよび、従業員数はグローバルで1,500名だ。
時代にあったシステム管理製品を
同社の知名度は、日本ではあまり高いとはいえないが、一部のユーザーが自ら利便性に気づき利用しはじめたことをきっかけに、日本市場での売上は前年比で2倍と驚異的な成長を遂げている。その勢いを加速させるように、今年2月3日には、日本法人ソーラーウインズ・ジャパンの設立を発表。国内市場でも高まる運用管理ニーズにこたえていく体制を整えた。
成長の秘密はどこにあるのか。日本法人の代表で、アジアパシフィック担当上級副社長を務めるジョン F. リッツオ氏は「製品の最大の特徴は、ITのあらゆるパフォーマンスをシングルペインで管理できることだ。これにより、システムを横断的に視認・分析し、問題解決の工数を大幅に削減できる」と話す。
一元的なコンソールによるITシステムの統合管理は、多くのベンダーが提供しているソリューションでもある。そうした競合他社との違いについて、リッツオ氏は、次のように説明する。
「問題は、多くの統合パッケージ型の管理製品がありながら、それを使う管理者の業務が分離されたままだということだ。われわれはIT管理者を6つに分けて考えている。システム管理者、データベース管理者、ネットワーク管理者、ストレージ管理者、セキュリティ管理者、IT統合管理者だ。 今のIT環境というのは、それぞれの管理者が専門分野だけを管理していれば済むという状況にはない。仮想化やクラウドが普及して各領域の境界があいまいになりつつあるし、米国でもIT運用コストの削減圧力は厳しい。サーバー管理者がネットワークの障害切り分けを行ったり、ネットワーク管理者がストレージ管理を行ったりせざるを得なくなりつつある。われわれが支援し、解決したいのはそこだ。管理者が自分の専門外の領域でも管理できるような仕組みを提供する。その基盤として、Orion(オライオン)という共通機能を組み込んでいる」
運用管理の課題にこたえる「コンバージド・システムマネジメント」
Orionとは、各製品の機能を連携させて一元的に運用できるようにするプラットフォームのことだ。SolarWindsの製品は、分野や用途に応じて20種類以上の製品が提供されており、必要に応じて必要な機能を追加できるモジュラー型の製品だ。管理者は、自分の専門領域の製品と、それ以外の必要な領域の製品をOrionの上でまとめ、データを連携させて使うことができる。「同じインタフェース、同じエクスペリエンスを提供することで、IT管理者は専門外の領域にスムーズに仕事を広げ、自分の付加価値を高めていくことができる」(リッツオ氏)
昨今IT管理者の業務は、ますます多岐にわたるようになっており、従来のような縦割りのIT管理では、柔軟な対応が難しくなってきている。
リッツオ氏とともに日本法人代表を務める、カントリーマネージャーの藤武琢也氏は、こんな調査結果を挙げる。米国の官公庁を対象に6時間以内にアプリに発生した問題をどこまで把握できるという調査をしたところ、「課題がどこに存在しているかを確認した」という回答が14.8%で、「根本原因がアプリの問題であると認識した」という回答が13.1%、さらに「問題を解決できた」という回答が8.6%にすぎなかった。つまり、1営業日内に課題を解決できた企業はほとんどいなかったのだ。
「この問題は、実はITインフラの視認性の欠如と関連している。原因特定のためサーバー、ネットワーク、ストレージと個別に調査を行っており、それらの相関関係から事象の追跡をすることが困難だからだ。仮想化の普及した現在では、問題がそれぞれの領域の境界線上で起こっていることも多い。そこで、各領域を協業、集中して管理 できるITが求められるようになった。SolarWindsでは、これを、単なる統合システム管理ではなく、集約した管理データを相互に連携・結合して、問題分析・解決の効率性を向上させる、コンバージド・システムマネジメントと呼んでいる」(藤武氏)
IT管理者がみずからの付加価値を高める
具体的な製品としては、次のようなラインアップを提供する。
企業ネットワーク上に構成されたシステムの可容性とパフォーマンスを監視する「Network Performance Manager(NPM)」、Flowプロトコルによる取得データを解析し、特定の通信情報を把握できる「NetFlow Traffic Analyzer(NTA)」、ルータやスイッチのコンフィグレーションをGUI上であらゆる作業を可能にする「Network Configuration Manager(NCM)」、仮想環境を監視しリソースを有効に活用するための情報を提供する「Virtualization Manager (VMan)」、アプリケーションの状態とパフォーマンス、サーバハードウェアの状態の監視「Server & Application Monitor(SAM)」、SANとNASストレージのパフォーマンスをマルチベンダー対応で監視する「Storage Manager(STM)」。
これらサーバー、仮想化環境、ネットワーク、ストレージといった機能をOrionに集約し、統合管理するわけだ。
リッツオ氏は製品戦略として重視していることは4つあるという。「1つめは複数要素にまたがったトラブルについてもどこからでも対応が始められること、2つめは徹底した可視化で切れ目のない管理ができること、3つめは必要に応じてどんな課題にも対応できること、そして最後にユーザー同士が知識やノウハウを持ち寄って解決できること。こうした優れた製品によるコンバージド・システムマネジメントこそが、同社の成長の大きな要因になっている」
国内展開ではパートナー戦略を重視
藤武氏は、国内展開については、パートナー戦略を強化すると話す。
「日本法人設立発表にあわせて、リセラーパートナーネットワークを構築し、共同マーケティングやセールスインセンティブを実施していく。また、15万ユーザーが利用する技術コミュニティ『thwack(スワック)』を日本語でも展開し、テクニカルサポートもより強化していく」(藤武氏)
コミュニティのthwackは、ユーザー同士の双方向のコミュニケーションを実現するためのWebサイトだ。 新設した日本語コミュニティでは、”どの”技術を”どこ”で探せばいいかというガイドを設けるなどして、日本人エンニジアを支援していくという。
最後にリッツオ氏は「これからのエンジニアは1つの領域を見ているだけでは十分ではない。技術の境界線をまたいでいけるような人材が求められている。それを実現するためのツールとして、われわれの製品は評価を高めてきた。日本のIT管理者もわれわれの製品でみずからのバリューを高めていってほしい」と締めくくった。
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