オープンデータを用いた地域活性化を目指す福井県鯖江市。同市では「電脳メガネサミット」「鯖江市役所JK課」「Code for Japan のコーポレートフェローシップ」など、オープンデータを活用するための多種多様な取り組みが官民一体となって進められている。そして、これらプロジェクトの仕掛人こそ、株式会社jig.jp 代表取締役社長 福野泰介氏である。

今回、2015年2月10日に開催されるマイナビニュース主催「スマートデバイス活用セミナー」に登壇予定の福野氏に、現在鯖江市で進行中の「地図と位置情報を用いたプロジェクト」と、これからの展望についてお話いただいた。

オープンデータとモバイルデバイスを活用した地域参加の街づくり

バス運行状況アプリのデモを行う株式会社jig.jp 代表取締役社長
福野 泰介氏

2014年12月23日にAppStoreにて配信が開始されたiOSアプリ「さばれぽ」。これは鯖江市の住民が、地域の穴場スポットやなどを撮影し地図上に表示していくことができるアプリである。このアプリの特徴はアップされた写真データは全てオープンデータ化され、誰でも自由に使用できる点だ。

これはもともと地域の課題を共有し解決を目指す「FixMyStreet」という考え方に基づいたもので、日本国内では千葉市が日本マイクロソフトの協力により「ちばレポ」というアプリをリリースしている。

そして2015年1月6日、鯖江市は「さばレポ」を「災害で危険な箇所」や「道路補修が必要なところ」を市民から報告してもらい防災に役立てるためのアプリとして正式に採用する旨を発表した。

鯖江市ウェブサイトに掲載された「市民協働アプリ"さばれぽ"iOS誕生」

「さばれぽ」の画面イメージ

行政がつくるのではなく、データを公開して民間がつくる

現在、鯖江市では市営バスの全てにタブレットを設置し、リアルタイムの位置情報をオープンデータとして公開している。「jig.jp」では、それを利用したリアルタイムでバスの運行状況を表示するアプリを開発中とのことだ。 このように、鯖江市においてオープンデータの活用が進んでいる背景として、福野氏は「行政と民間が共同開発をしていない」ことを挙げた。 「行政と民間が連携しようとすると、調整ごとが多くて手間と時間ばかりが掛かってしまい、なかなか前には進みません。行政は一方的にデータを出す。それを利用して民間がサービスを作る。その流れがオープンデータの利用を活性化させるのです」(福野氏)

現在、福野氏が注目しているもの、それはオープンデータとウエアラブルの連携である。 「パソコンがスマートフォンに変わり、そしてウエアラブルになる。ユーザーはより活動的になり、利用される場所も広がって行く。そうなると地図や位置情報データの重要性は、さらに増していきます。これらのオープンデータ化が広がれば、市民サービス向上、防災、観光など、地域活性化につながるアプリケーションが次々と生まれてくるはずです」

2月10日のセミナーでは、前述した位置情報のオープンデータを利用したアプリなど、「jig.jp」が取り組んでいるプロジェクトのデモが紹介される予定となっている。 データシティ鯖江を目指しオープンデータ化を推進する鯖江市と「jig.jp」の取り組みは、地域活性を目指す人々にとって大きなヒントを与えることになるだろう。

同セミナーの詳細は以下の通りとなっている。

  • タイトル:スマートデバイス活用セミナー ~最新事例から"地図活用"の新しい在り方を解説! 位置情報を用いた次世代の集客施策とは?~
  • 開催日程:2015年2月10日(火) 13:30(開場 13:00)~16:30
  • 定員:50名
  • 申し込み締切日:2015年2月9日(月) 18:00まで
  • 参加費:無料
  • 開催会場:パレスサイドビル 東コア2F マイナビルームU
    〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1
  • 主催:株式会社マイナビ マイナビニュースセミナー運営事務局
  • 協賛:インクリメントP株式会社