日本オラクルは1月15日、NASストレージの新製品「Oracle ZFS Storage ZS4-4」の発表会において、ストレージ製品全般の戦略について説明を行った。
初めに、システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス 本部長 宮坂美樹氏が、「デジタルデータは爆発的に増加しているが、企業が抱えているすべてのデータが使われているとは限らない。80%のデータは90日を経過するとほとんどアクセスがないという調査結果も出ている。そうした状況を踏まえ、われわれはコストをできるかぎり抑えて、データを最適な場所に配置することを考えている」と、同社のストレージ製品におけるコンセプトを説明した。
このコンセプトを実現するのが、フラッシュストレージ、ディスクストレージ、テープストレージから構成される「階層化ストレージ」となる。同社は、フラッシュストレージとして「Oracle FS1 Flash Storage System」、ディスクストレージとして「Oracle ZFS Storage Appliance」、テープストレージとして「StorageTek」というラインアップを持っている。
左から、「Oracle FS1 Flash Storage System」、「Oracle ZFS Storage ZS4-4」、「StorageTek SL150 Modular Tape Library」 |
同社は、全体の数%程度の比較的使用頻度の高いデータはフラッシュストレージに、次に全体の10数%の使用頻度の高いデータはディスクストレージに、残りのデータはテープストレージにといった具合に、データのアクセス頻度に応じてデータを自動管理することを推進している。
2014年10月に発表された「Oracle FS1 Flash Storage System」は、国内で初めて研究機関に導入されたという。その導入目的は「頻繁にアクセスする研究データ、再現性のない実験データなどの一定期間保管が必要なデータを効率よく保管したい」といったものだった。
この研究機関では、同製品とともにテープストレージを導入して、多数のファイルサーバのデータをディスクとテープにまとめて、使用頻度の低いデータをテープに保管することにより、全体的なディスク容量が減って消費電力も削減されたという。
また、宮坂氏は米国で昨年12月に発表されたフロント・ポーチ・デジタルの買収について言及し、買収途中のため詳細は明らかにできないとしたうえで、「今後、4Kや8Kに対応した機器やコンテンツが増えることが見込まれるため、フロント・ポーチが持つ高解像度の各種データ、ストレージ管理ソリューションと当社のストレージ製品を統合することで、効率的かつ低コストなデータ保管を実現したい」とその狙いについて語った。
システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス プロダクト・ビジネス推進部 山崎隆文氏からは、テープ・ストレージ製品の最新動向について説明が行われた。
山崎氏は、コンテンツ管理、メディア&エンターテインメント、HPC/ビッグデータ、ヘルスケア、図書館、ビデオ監視といった分野でテープ・アーカイブの需要が高まっていると述べた。
同社のテープ・ストレージの中で特徴的な製品としては、StorageTek T10000 T2カートリッジが紹介された。同製品はバリウム・フェライトというビット密度を上げることが可能な素材からできており、従来の素材であるメタルパーティクルよりも磁気が安定しているという。
また同氏は、昨年、テープの規格「LTO」のロードマップに「LTO9」と「LTO10」が加わったことを挙げ、今後もテープストレージの進化は続くと語った。