北海道大学(北大)は1月5日、生体内でB型肝炎ウイルス(HBV)が認識される仕組みを解明したと発表した。

同成果は北大、名古屋市立大学、国立感染症研究所、米ロックフェラー大学、東京都医学総合研究所、フェニックスバイオらによるもので、12月31日付(現地時間)の米免疫学雑誌「Immunity」に掲載された。

同研究グループは、HBVがヒト肝細胞に感染した際のセンサー分子は何か、またHBVを認識した後にどのような免疫応答が発生するのかについて、自然免疫に着目して研究を進めた。

その結果、DNAウイルスであるHBVが、細胞内のRNAセンサーとして知られるRIG-Iによって認識されることを発見。その下流で抗ウイルス活性のあるインターフェロンを産生し、感染防御を誘導することがわかった。また、RIG-Iは、センサー分子として働くだけでなく、直接的にウイルスの複製を阻害する働きを持っていることも判明した。さらに、この複製阻害の仕組みに基づいたB型肝炎治療の創薬を支持する結果が、ヒト肝臓を移植したヒト化マウスモデルを用いた実験で得られたという。

HBVに対する自然免疫感染防御でのRIG-Iの2つの役割

今回、生体内での分子センターを同定し、その認識機構の一端を明らかにしたことに加え、ウイルスの抑制の可能性を示唆する結果も得られたことによって、新たな視点でのHBV治療薬の開発につながることが期待される。